新型インフルエンザ、「過剰反応」減少の可能性も−大手各社も対応変化なし

  • 2009年8月25日
 厚生労働省は8月21日、新型インフルエンザが流行期入りしたと見られると発表した。8月10日から16日の調査で定点医療機関あたりのインフルエンザ患者報告数が1.69人となり、流行開始の目安となる1.00人を上回ったため。これらの患者のほとんどは新型インフルエンザの患者である可能性が高く、流行しているのは新型インフルエンザと考えられるという。すでに国内でも複数の死者が出るなど事態の深刻さは増しており、今後も病原性の変化など状況が悪化する可能性も懸念される。しかし、大手旅行会社によると、今のところ消費者の海外旅行需要に大きな影響は出ていないようだ。

 ジェイティービー(JTB)、エイチ・アイ・エス(HIS)、近畿日本ツーリスト(KNT)、日本旅行、阪急交通社の各社では、「数値の上では出ていない」「まったくないかはわからないが、特に聞いていない」「平常と変わらない」などと現時点での影響を否定。この要因としては、新型インフルエンザの発生当初は実態が分からなかったのに対して、現在は毒性が弱い点などの情報が浸透した、国内での患者数が増加したことで“慣れた”、現在申し込み済みの消費者は新型インフルエンザが発生している事実を理解したうえで申し込んでおり慌てにくい、といった可能性が考えられる。

 各社の対応も、これまでと変化ないという。例えばJTBとKNTでは、今回の流行期入りや第2波だけでなく鳥インフルエンザも想定しつつ事業継続計画(BCP)の策定を進めており、日本旅行も「対策本部での情報収集を継続している」ところ。HISと阪急交通社を含めて各社ともに、様子を見ながら対応を進めていると回答した。なお、日本旅行業協会(JATA)でもBCPのガイドライン策定を進めており、今月内にも会員各社に通知する予定という。