ユナイテッド航空、団体旅行に本腰−運賃明確化と見積もり迅速化、制限緩和も

  • 2009年8月5日
 ユナイテッド航空(UA)は、団体旅行の受注拡大を本格化する。10月1日出発分からアメリカ国内線区間の運賃に柔軟性を持たせるほか、運賃体系を簡素化してわかりやすくし、特にアメリカ国内線が入る旅程での競争力を向上。また、見積もりにかかる時間を短縮化、さらに団体手配のルールも緩和することで需要の取り込みをはかる。UA東日本地区旅客営業部長の大山直基氏によると、UAのネットワークを団体旅行で利用したい旅行業界の希望とUAのねらいが合致したといい、搭乗率と利益率の向上を見込む。

 従来は、アメリカ国内線を含めて全区間で1つの予約クラスでのコンファメーションが必要で、搭乗率の高い国内線区間などが入ると全体の運賃も高額化する傾向にあったが、運賃の選択方法を増やして柔軟性を確保。具体的には、国際線区間を団体運賃とし、コンファメーションが得られない国内線区間を追加運賃として計算する「アドオン方式」と、往路と復路で団体運賃とPEX運賃を組み合わせられる「コンビネーション方式」の2通りを用意。UAの団体予約担当者が運賃を計算してより安い方を旅行会社に提示するが、場合によるものの、従来とは数万円の差が出ることもあるという。

 また、見積もり回答の早期化では、これまではUA本社が見積もりを出していたため1週間近くかかる場合もあった。これに対して、新体制では「可能な限り日本の担当者レベルで運賃を出せるようになった」ことから、旅行会社からの見積もり依頼に対して、ほぼその場で運賃を提示できるようになったという。また、他社よりも割高な場合に値下げが可能かの判断は従来どおりUA本社で対応するものの、一両日中の回答が可能となった。

 さらに、一部を除いて運賃を通年で設定するなど、わかりやすさも向上。これまでは5ゾーン制であった運賃体系も、西海岸と東海岸を主とする2ゾーン制に変更し明確化。このほか、団体手配のルール緩和では、出発14日前までのネームチェンジを可能にしたほか、出発6週間前に確定した利用座席数の消化率によって徴収するキャンセルチャージの発生基準を、85%から70%に引き下げた。

 なお、UAにとっては、早期に予約が入る団体旅行を取り込むことで早い段階で搭乗率を向上できれば、間際の価格設定の自由度が高まるため、利益率も向上すると見込む。団体運賃自体も「他社にも負けないものを出している」といい、団体需要の獲得につなげる方針だ。