特集:「若者の海外旅行離れ」(2)、海外旅行の仕方を知らない世代
大学生のうちに海外旅行はしたい、でも手配の仕方がわからない
半数がパンフレットを「見たことがない」、手配の実態を知らない
教授陣が「おしなべて、今の学生は大人しい」と語るように、言葉の不安が先立ち、国内旅行を支持する傾向が強い。しかし、今後の海外旅行に対する希望を聞くと、大学生のうちに海外旅行をしたい人は7割を超し、そのうち約4割が「ぜひ、したい」と答えている。また、誰と行きたいかをたずねたところ「友人と行きたい」と答えた学生が72%と圧倒的に多いことがわかった。その内訳をみると、「異性と行きたい」(104人)学生の数に対して、「同性と行きたい」(130人)とする学生が若干数上回り、「異性・同性の別を問わない」(46人)とあわせると、相当数が同性の友人と海外旅行を経験したいと考えていることがわかる。
「海外旅行に行くのであれば、どのような方法で予約手配をするのか」たずねると、「旅行会社や大学生協が扱う一般のパッケージツアーを利用する」と答えた学生が半分以下(45%)と少ない。また、「航空券ないしはホテルを、インターネットを利用して自己手配する」と答えた学生が4割を占め、パッケージツアーを利用したいとする学生と大差がないことがわかった。また、「海外旅行の手配について、詳しくわからない・知らない」とする学生は13%ほど存在し、パッケージツアーの魅力や値ごろ感がきちんと伝わっていないことが懸念される結果になった。
そこで、「旅行会社で売られているパッケージ商品の内容を、パンフレットやサイトで見たことはありますか?」と全学生にたずねたところ、「見たことがある」との回答は46%と半数を切り、「見たことがない」が若干数上回った。学生の目にふれるための企業努力、例えば大学食堂やカフェテリアのお盆に敷く“トレイマット”に広告を打つなどはされているものの、一部の旅行会社や大学にとどまるのが現状のようだ。
さらに興味深いことに、一般学生(非観光系)のみ抽出して集計したところ、「ツアーパンフレットを見たことがない」と答えた学生が65%にもおよぶ。パンフレットのペーパレス化が進んでいるなか、航空会社やホテルの直販サイトが先立ち、パッケージツアーのページにたどり着かないのではないかとも思える。


若者の主観、海外旅行熱は減退しているか
「以前に比べ、若者の間に海外旅行熱が減退した」といわれているが、学生自身は、どのように思っているだろうか。渡航者数など数値上で測るのではなく、インタビューを通してでは、深層心理のなかに「学生のうちに海外旅行をしたい」と考える若い世代は今昔、変わりなく存在することを実感する。現代の若者が自分たちをどう捉え、日本の将来に何を思っているのかをたずねた。
学生たちは過去との比較ができないが、それでも「若者の間に海外旅行熱は減退したと思いますか」とたずねたところ、58%の学生が「そう思う」と答えている。また、「若者が海外旅行をしなくなると、日本の将来に弊害があると考えますか」と問うと「弊害がある」と答えた学生と「そうは思わない」と答える学生の比率がほぼ半々に分かれた。さらに非観光系の一般学生113人のみを対象に集計したところ、「日本の将来に弊害があるとは思わない」と答えた学生が60%に達することがわかった。
海外旅行経験の有無や渡航者数の増加が、日本の将来の国際競争力に影を落とすとは一概にはいえないが、危機意識を抱いている学生の数が意外に少ないことに驚きをもつ。日本以外のアジア各国が世界経済において国際競争力を増すなかで、海外を見聞しない若者が社会に出てどのような生産活動をし、マネジメント能力を磨いていくのだろうか。
明日は、海外旅行離れは親の世代からの継承でもあることを数値をもって示すと同時に、海外旅行が右肩上がりとなるのを信じて疑わない時代に、学生の身分で青春を謳歌した筆者世代が担うべき役割を提案したい。

半数がパンフレットを「見たことがない」、手配の実態を知らない
教授陣が「おしなべて、今の学生は大人しい」と語るように、言葉の不安が先立ち、国内旅行を支持する傾向が強い。しかし、今後の海外旅行に対する希望を聞くと、大学生のうちに海外旅行をしたい人は7割を超し、そのうち約4割が「ぜひ、したい」と答えている。また、誰と行きたいかをたずねたところ「友人と行きたい」と答えた学生が72%と圧倒的に多いことがわかった。その内訳をみると、「異性と行きたい」(104人)学生の数に対して、「同性と行きたい」(130人)とする学生が若干数上回り、「異性・同性の別を問わない」(46人)とあわせると、相当数が同性の友人と海外旅行を経験したいと考えていることがわかる。
「海外旅行に行くのであれば、どのような方法で予約手配をするのか」たずねると、「旅行会社や大学生協が扱う一般のパッケージツアーを利用する」と答えた学生が半分以下(45%)と少ない。また、「航空券ないしはホテルを、インターネットを利用して自己手配する」と答えた学生が4割を占め、パッケージツアーを利用したいとする学生と大差がないことがわかった。また、「海外旅行の手配について、詳しくわからない・知らない」とする学生は13%ほど存在し、パッケージツアーの魅力や値ごろ感がきちんと伝わっていないことが懸念される結果になった。
そこで、「旅行会社で売られているパッケージ商品の内容を、パンフレットやサイトで見たことはありますか?」と全学生にたずねたところ、「見たことがある」との回答は46%と半数を切り、「見たことがない」が若干数上回った。学生の目にふれるための企業努力、例えば大学食堂やカフェテリアのお盆に敷く“トレイマット”に広告を打つなどはされているものの、一部の旅行会社や大学にとどまるのが現状のようだ。
さらに興味深いことに、一般学生(非観光系)のみ抽出して集計したところ、「ツアーパンフレットを見たことがない」と答えた学生が65%にもおよぶ。パンフレットのペーパレス化が進んでいるなか、航空会社やホテルの直販サイトが先立ち、パッケージツアーのページにたどり着かないのではないかとも思える。


若者の主観、海外旅行熱は減退しているか
「以前に比べ、若者の間に海外旅行熱が減退した」といわれているが、学生自身は、どのように思っているだろうか。渡航者数など数値上で測るのではなく、インタビューを通してでは、深層心理のなかに「学生のうちに海外旅行をしたい」と考える若い世代は今昔、変わりなく存在することを実感する。現代の若者が自分たちをどう捉え、日本の将来に何を思っているのかをたずねた。
学生たちは過去との比較ができないが、それでも「若者の間に海外旅行熱は減退したと思いますか」とたずねたところ、58%の学生が「そう思う」と答えている。また、「若者が海外旅行をしなくなると、日本の将来に弊害があると考えますか」と問うと「弊害がある」と答えた学生と「そうは思わない」と答える学生の比率がほぼ半々に分かれた。さらに非観光系の一般学生113人のみを対象に集計したところ、「日本の将来に弊害があるとは思わない」と答えた学生が60%に達することがわかった。
海外旅行経験の有無や渡航者数の増加が、日本の将来の国際競争力に影を落とすとは一概にはいえないが、危機意識を抱いている学生の数が意外に少ないことに驚きをもつ。日本以外のアジア各国が世界経済において国際競争力を増すなかで、海外を見聞しない若者が社会に出てどのような生産活動をし、マネジメント能力を磨いていくのだろうか。
明日は、海外旅行離れは親の世代からの継承でもあることを数値をもって示すと同時に、海外旅行が右肩上がりとなるのを信じて疑わない時代に、学生の身分で青春を謳歌した筆者世代が担うべき役割を提案したい。

取材、調査研究:千葉千枝子