TG、レジャー需要の回復に注力、将来的には日本路線拡大も視野に

  • 2009年5月21日
 (バンコク発:山田友樹)タイ国際航空(TG)はバンコクで会見をおこない、日本からのレジャー客の回復に注力していく方針を明らかにした。ピチャイ・チュンガヌア営業本部長は、一連の政治的混乱で日本からの需要が低迷している現状を説明した上で、「日本は変わらず重要な市場。引き続き需要回復に向けたプロモーションにも力を入れていく」と強調。「混乱は一部だけで、バンコクの日常生活は普段と変わらない。以前と同じように安心して観光を楽しむことができる」とアピールした。

 TGでは日本向けリカバリーキャンペーンとして「タイ・バーゲン!」を実施。25歳から35歳までの女性、F1層をメインターゲットし、2009年9月末まで実施する。期間中、各種メディアを通じてタイの魅力を発信し、レジャー需要を回復させていくねらいだ。新しい試みとして専用のウェブサイトを立ち上げ、旅の特典を提供するともにPDFでガイドブックがダウンロードできるようにした。また、QRコードを通じてスパ、レストラン、ショッピングなどで利用できるディスカウント・クーポンも提供。そのクーポンをダウンロードし、搭乗券の半券と一緒に提示すれば、ディスカウントが受けられるという仕組みだ。

▽羽田路線開設を申請、成田路線も増便へ

 会見では今後の航空路線計画も言及。まず、福岡線については2009年末までにはデイリー運航に戻す予定で、2010年には日本路線を完全に回復させる計画。さらに、2010年の羽田および成田の発着枠増加に向けて、羽田路線の就航と成田路線の増便を国土交通省に申請中だ。羽田路線について、ドライアポン・スカヌサス日本地区担当営業部長は「羽田は都心に近く、乗客のニーズも高いはず。成田の便数を維持しつつ、羽田へのフライトを実現したい」と述べ、羽田就航によって成田路線を減便する考えはないことを強調にした。なお、羽田への運航時間については、今後の交渉次第と述べるにとどめた。また、TGではチャーター便にも力を入れており、2009年5月、8月、9月には札幌と仙台にチャーター便を運航。タイから日本への需要が好調なことから、双方向でのレジャー客の増加を見込んでいる。

 新たな定期路線拡大としては、バンコク/関空/札幌線、バンコク/札幌線、バンコク/沖縄線の開設を検討中だ。ドライアポン氏は、「長期的に考えれば、日本市場の潜在性は高い。チャーター便の実績を見ると特に札幌は有望な路線になりうるのではないか」との考えを示した。

 セールス活動については、オンラインによるダイレクト・セールスを強化している。一方で、ドライアポン氏は日本の旅行会社も引き続き重要な存在として、今後も良好な関係を築いていきたいと述べた。また、スターアライアンスのメンバーとして全日空(NH)ANAとの関係も適切に機能しており、「セールス活動でも協調を深めていく」考えだ。

 このほか、ピチャイ氏は、世界的な広がりを見せている新型インフルエンザによる影響についても言及。「こうした病気は場所を特定できないために、予測は極めて難しい。しかし、現在のところタイでの発生は数件に限られており、観光への影響は全くない。我々はSARSの経験があり、こうした病気への対策システムはしっかりしている」と述べ、今後の対応に自信を示した。