旅専、専門特化が存在価値につながる−セミナーで「人・金・戦略」を解説

  • 2009年3月6日
 海外・旅の専門店連合会(旅専)は3月5日、不況を乗り切る術を探ることをキーワードにセミナーを開催した。旅専会長の齋藤定光氏(イタリアン地中海センター代表)は、「顧客を大切にし、ニーズをつかんで提案することが重要」と話し、「これを続ければ顧客に育てられ専門店になる」と強調した。セミナーでは、風の旅行社代表取締役の原優二氏が、「不況時の経営戦略。価格競争から専門特化への道」と題して講演し、「小さな会社が大手と同じことをしてもだめ。専門に特化することが必要ではないか」と訴えた。

 原氏は、不況だからこそ原点に返り、他社の動向ではなく自社を見直すことが必要であるという。セミナーでは中小の旅行会社における経営戦略について、「人」「金」「戦略」にわけて説明。「人」については、就業規則や休暇制度などを導入しても人員が少ないため対応できないことがあるとして、「制度と実態がずれる」と指摘する。さらに、事業を拡大するためにはスタッフの育成と体制の組織化が必要であるものの、少人数の会社では逆に柔軟な対応ができないという。スタッフ育成においては、「仕事は現場で覚えるもの。技術は知識ではなく、どんな姿勢でのぞむかが大切」との考えを示した。

 「金」については、必要な設備投資であっても減価償却となることをふまえて、リスクの高さを認識する必要性を示唆。「支出すれば収入になるわけではない」とし、バランスを見極めることが利益を生み出すと説明した。最後に「戦略」として、「専門特化しないと生き残れない。リスクは高いが、避けることで生き残れるのか」と語り、得意分野を活かして他社と圧倒的な差別化をはかる必要があると訴えた。

 一方、会場からは、現地ランドオペーレーターよりも豊富な知識をもつことや、顧客からの信頼を勝ち取ることが専門特化であるとの意見も挙がった。また、原氏はリピーターの重要性を認めつつ、「新規開拓も重要。ホームページの工夫もそのひとつだろう」と言及。インターネットへの対応については、同じ会場で、オンライン販売促進のためのホームページ作成の工夫についてのセミナーも併催した。