北欧デザインを巡る旅(5) ノルウェー、若手のデザイナーに注目高まる

  • 2009年2月20日
 同じ北欧の国でありながら、デザインに対してある意味で“無頓着”であったのがノルウェー。豊かな天然資源のおかげで、工業製品にあまり依存することがなかったことが理由のひとつだ。とはいえ、世界に冠たる「北欧デザイン」を生み出してきた隣国をただ傍観してきたわけではない。

 2005年、ノルウェー政府はこの年を「デザイン・イヤー」と定め、国をあげてデザインに対する意識向上をはかった。結果はすぐに現れ、2007年には北欧最高峰のデザイン賞「トーステン&ワニヤ・セーデルベリ賞」を「ノルウェー・セイズ」など若手インテリアデザイナーユニットが受賞。各地でデザインの新スポットが誕生し、ノルウェーデザインは確固たる地位を築きつつある。

 首都オスロにある「ノルウェー・セイズ・ショップ」は、注目の若手デザイナーのセレクトによるインテリアショップ。ひねりを利かせたデザインソファやランプが配置され、優れたデザインと機能性を備えた雑貨も多い。豊富な品揃えと明るくシンプルな店内の空間は、ショッピングの予定がなくても訪れる価値のある場所。ノルウェーデザインの時代到来を感じさせるハイセンスなデザインショップだ。

 スカンジナビア政府観光局の高橋成美氏によると「2008年にオスロに誕生したオペラハウスのデザインは必見」とすすめる。ノルウェーのデザイン事務所スノーヘッタが手掛けたもので、海に浮かぶ氷山をモチーフにしている。「館内の電力を外壁のソーラーパネルでまかなう、環境にも優しいデザインが特徴で、オスロの新しい観光素材として注目のスポットになっている」とのこと。スノーヘッタはニューヨークにあるグランド・ゼロの国際フリーダム・センターの設計も担当しており、世界的にも活躍が注目されている。

 また、オスロには過去100年の北欧デザインの変遷を電気製品、家具、食器、洋服、テキスタイルにわたり展示している工芸美術館や、2004年に設立されたノルウェーデザインの活動の中心地になっているノルウェーデザイン建築センターなど、他の北欧諸国にひけをとらないほどデザインの見どころがある。オスロ以外にも、フィヨルドツアーの起点となる街ベルゲンの世界遺産ブリッゲン地区にもデザイナーのアトリエが点在するなど、今後はデザインの発信地としても注目したい。フィヨルドツアーとの組み合わせなど、新たな旅の可能性があるだろう。


▽スカンジナビア政府観光局
http://www.visitscandinavia.or.jp/

▽オペラハウス公式サイト(英語)
http://www.operaen.no/

▽ノルウェー・セイズ公式サイト(英語)
http://www.norwaysays.com/


▽関連記事
北欧デザインを巡る旅(4)フィンランド、買物目当てのFIT女性客が増加(2009/02/19)
北欧デザインを巡る旅(3)スウェーデン、公共交通、環境など切り口が多様(2009/02/18)
北欧デザインを巡る旅(2)デンマーク、生活に溶け込んだデザインに触れる(2009/02/17)
北欧デザインを巡る旅(1)新たな需要を拓いた北欧デザインとは(2009/02/16)