北欧デザインを巡る旅(1)新たな需要を拓いた北欧デザインとは

  • 2009年2月16日
 冬が長く厳しい北欧では、室内空間をより居心地の良いものにするために、独自の優れたデザインが生み出されてきた。特に1950年代は世界的に評価の高い数々の名品が生まれた「ミッドセンチュリー」と呼ばれる黄金期で、それ以来、世界中の家庭やオフィスで数々の製品が親しまれている。最近では、有害物質が発生しない素材を用いるなど、環境問題を考慮した新感覚デザインとしても話題を集めている。










 インテリアや日用雑貨を中心に、どこか柔らかい印象で温かみが感じられる飽きのこないスタイルと高い実用性で、日本でも人気が高い。これまでデザイン感度の高いクリエイターなど、熱烈なファンに支持されてきた北欧デザインの認知度をさらに高めたのは、スウェーデンの家具ブランド「IKEA」の日本進出。これにより「北欧デザイン」は多くの人々にとって、とても身近なものとなった。

 スカンジナビア政府観光局の高橋成美氏によれば「最近、北欧への渡航者は、パッケージツアー客以外にも20代から30代の女性を中心に、街歩きをしながらゆっくり街に滞在するFITも増えている」とのこと。北欧デザインの有名ショップをはじめ、小さなアトリエや各所のフリーマーケットでの買い物など、北欧デザインに直に触れられる街歩き型のスローな旅が受けているという。

 この流れを汲んで、複数の会社が「デザイン」をテーマにした北欧方面のツアーを作っている。第13回(2006年)のツアーオブザイヤーの特別賞に選ばれたフィンツアーの「北欧3ヶ国デザインを感じる旅」は、2005年度に6回、2006年度に6回、2007年度に5回、2008年度に5回催行。また、日本旅行は2月から4月にかけて期間設定したパッケージツアー「北欧デザインをめぐる旅」の販売を開始している。北欧旅行の安定した人気を受け、デザインという特定マーケット商品の強化がはかられている。

 これまで冬のオーロラやフィヨルドでのクルーズなど、自然を巡るプランが中心であった北欧で、街歩きの楽しさを提案できる「デザイン」を巡る旅。スカンジナビア航空(SK)は従来の成田/コペンハーゲン直行便に加え、ストックホルムへの直行便も意欲を示しており、昨年の航空交渉では2010年の成田空港増枠後、日本とスカンジナビア双方の企業に輸送力の拡大が認められた。これにより今後、さらにアクセスが便利となることが期待され、より多彩な北欧の旅が提案できるようになるだろう。
 
 今週はデンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドの4ヶ国を、「デザイン」をテーマに巡ってみる。