KNT、09年は出足好調、前年2倍も−組織改正の効果を最大限発揮する年に

  • 2009年2月13日
 近畿日本ツーリスト(KNT)の2009年の出足が好調だ。特に円高の影響が指摘されるアジア方面が好調で、全体でも1月以降のホリデイの取扱・予約人数は前年比18%増で推移。4月以降も前年を超える予約動向を見せている。KNT代表取締役社長の吉川勝久氏は2月12日に開催した「2009年度海外旅行方針発表」の場で、「(経済環境は)悪いことばかりが強調されるが、言われるより早く底が見えるのではないか」と期待を示す。取締役兼執行役員旅行事業創発本部長の斎藤彰英氏も「消費者は間違いなく動き出した。相当な勢いを感じる」とし、昨年の組織改正のメリットを最大限発揮して需要を取り込み、取扱高1677億円の目標を達成したい考えを語った。

 取扱高の目標のうち、ホリデイは700億円をめざす。KNT執行役員海外旅行部長の權田昌一氏によると、人数では全体で5%増の93万人をめざしており、内訳はホリデイが40万人、団体が20万人、FITなどそのほかの分野が33万人だ。現在の予約動向について東日本海外仕入ホリデイ事業部長の田口久喜氏は、1月からの予約動向では「米ドル圏以外が好調」で、ヨーロッパやオーストラリアが伸びていると説明。「ヨーロッパは前年の2倍近い数字からスタートしている」ところで、米ドル圏でも伸びは鈍いもののプラス成長している。


▽消費者目線を重視、ホリデイは「先手必勝」も

 具体的な需要の取り込みの方針としては、「消費者目線」を重視。組織改正により企画と仕入を一体化したことで、消費者のニーズをより早く商品に反映しやすくなっており、今後は企画担当者が実際に現場に行き、ニーズを把握する計画だ。また、2009年は大きなイベントがないと言われるものの、「特需がないならば作り出す」(斎藤氏)考えから、企業やイベント、消費者などの多様な周年、記念を需要につなげる「メモリアル・マーケティング」を推進する。

 このほか、団体では1月1日付けで「スポーツイベント事業部」を設立。オリンピックやワールドカップ、柔道や水泳の世界大会などの需要取り込みをめざす。個人旅行では、ダイナミックパッケージを本格化する。ホリデイでは、秋のハネムーン商品を4月に発売するなど価格訴求型でない商品の発表を早期化し、「先手必勝」で需要を囲い込む。また、関空や中部などの路線網が縮小するなかで、東京までの国内線区間を、方面によっては無料、もしくは1000円にするなど、地方需要も積極的に取り込んでいく。仁川などで集合して出発する商品なども増やす考え。また、ビジネスクラス専用商品も発売に向けて準備を進めているところだ。


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