海外に行かない理由は「不安感・負担感」、行きたい国は欧州など−国交省調査

  • 2008年7月11日
 過去3年間に海外旅行に行かなかった人は、為替レートや航空運賃などの経済環境、テロ、感染症、言葉・文化の障壁などによる「不安感・負担感」が大きい――。これは、国土交通省が実施した「海外旅行者満足度・意識調査」の結果だ。例えば、「海外旅行を決める際、テロや戦争、感染症、風土病などについて、強い不安を感じるか」の設問で、行った人では「とてもそう思う」と「少しそう思う」の合計が37.6%であったのに対し、行かなかった人では86.3%に達しており、そのうちの67.5%が「とてもそう思う」と答えた。また、「旅行を決める際に、言葉や文化などの違いによる、不安感や負担感を強く感じるか」では、行った人の「とてもそう思う」と「少しそう思う」の合計が30.8%であったのに対し、行かなかった人では69.7%となった。

 一方、海外離れが懸念される若年層のうち海外に行かなかった人の回答は、全年齢層の平均と大きな差異がなかった。ただし、「余暇の過ごし方として海外旅行に時間を割きたいか」の設問に対する若年層の男女別の回答では、男性が海外旅行に興味を持っていない結果となった。女性で「とてもそう思う」と「少しそう思う」を選んだのは57.1%となったが、男性は31.9%に留まった。なお、「今後最も行きたい国・地域」を聞いたところ、「特にない」と答えたのは、全体では19.7%で20歳代は24.4%であった。


▽人気のデスティネーションはヨーロッパ、オーストラリア、ハワイ

 「今後最も行きたい国」の設問では、オーストラリアやヨーロッパ(フランスとドイツは別項目)、ハワイの人気が高く、行った人・行かなかった人ともに上位3位を占めた。行った人ではヨーロッパ(25.4%)、オーストラリア(10.2%)、ハワイ(9.0%)の順で、行かなかった人ではオーストラリア(16.7%)、ヨーロッパ(16.5%)、ハワイ(8.3%)となった。ヨーロッパは世代別でも20歳代から70歳以上の全世代で人気が高かったほか、ヨーロッパに旅行した人が行きたい国・地域としてヨーロッパを回答する割合も高かった。再来訪の希望率が高かったのは、このほかハワイや米国本土、タイなどであった。

 旅行後の満足度を聞いたところ、相対的に満足度が高かったのはインドネシア(72.7点)、ドイツ(70.6点)、ハワイ(69.9点)、オーストラリア(69.7点)、カナダ(69.7点)、フランス(69.6点)など。あわせて旅行前の期待も聞いており、カナダとフィリピンでは旅行後の満足度が期待を上回った。

 また、「食」と「宿」、「ショッピング」、「観光」についての期待と満足度を比べると、食と宿は高い期待に対して満足度が低く、落差が大きかった。観光は期待も満足度も高く、ショッピングは期待が他の3要素より低く、満足度は期待と同程度となった。これらの4要素についてパッケージツアーとフリープラン、自由旅行での期待と満足度を比較すると、いずれの要素でもパッケージツアーの落差が最も大きかった。概して旅行の自由度が上がるほどにギャップが少なくなっており、フリープランの場合、観光とショッピングでは事前の期待値を満足度が上回っていた。

 このほか詳細は、下記のサイトへ。


▽国交省、「海外旅行者満足度・意識調査の結果をとりまとめました」
http://www.mlit.go.jp/report/press/kanko06_hh_000011.html


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