米国土安全保障省、オンライン事前渡航認証システムを導入−代理申請も可能

  • 2008年6月6日
 アメリカ国土安全保障省(DHS)が公表したビザ免除国を対象とする電子渡航認証システム(ESTA)の導入について、DHS駐日代表のマイケル・R・コックス氏と在日アメリカ大使館行使参事官兼総領事のレイモンド・R・ベーカー氏が記者発表会で説明した。ESTAは現在の紙のフォーム「I-94W」に替え、DHSのウェブサイトで出発の72時間前までに申請をし、承認を得るもの。申請費用は無料としており、現在のところ有料化は考えていない。対象は、現行のビザ免除プログラムの条件である90日以下の観光または商用目的の渡航で、認証そのものはビザとは異なる。8月1日から任意による申請を受け付け、2009年1月12日からは義務化する。当面は英語での入力となるが、10月中旬から日本語を含む複数言語への対応も予定している。

 サイトでの入力項目は「I-94W」と同様。必要項目の入力後、数秒で「認証」「拒否」「保留」のいずれかの結果が表示される。認証を受けた事実は政府や航空会社の記録に残り、航空会社はチェックインの際にAPIで認証の有無を確認できるようになる。ただし、申請者は申請時に表示されるトラッキング・ナンバーを自分で控える必要がある。認証の有効期限は2年間で、その後アップデートする場合もこの番号が必要だ。

 一方、拒否された場合は、大使館や領事館でビザの発給を受ける必要がある。保留の場合は72時間以内に結果が出るので、申請時に表示されるトラッキング・ナンバーを控え、再度、DHSのウェブサイトでの確認が必要だ。申請期限は出発の72時間前とするが、DHSでは渡航の予定が決まれば早い段階で申請するよう勧めている。また、緊急の場合は72時間を切っていても申請を受け付ける。

 実際の場面では、入力ミスで認証され、所有のパスポートと情報が一致しないといった可能性も考えられるが、こうしたケースは入国時に対処するという。また、第3者による代理申請も認められており、旅行会社の手続き代行ビジネスも可能性があるが、具体的にどのような作業が発生するのかは現段階ではみえていない。

 アメリカでは昨年度、1500万人以上のビザ免除による渡航者を受け入れており、国別の渡航者数で日本は、免除国27ヶ国のうちイギリスに次ぐ第2位であった。DHSでは旅行者への影響について、日本人はこれまでにも新制度の導入時には柔軟な対応してきたことを考慮し、大きな影響はないのではないかと見ている。さらに、現地で入国が拒否されるのではなく渡航前に判明する点で旅行者にとっても利便性があると、強調した。


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