ノースウエスト・バーニアー支社長、現在の最善策を選択−手数料ゼロ導入で

  • 2008年5月28日
 ノースウエスト航空(NW)は5月27日付けで、旅行会社の発券手数料の廃止を通知したが、10月からのゼロ・コミッションの導入を決めた背景について日本支社長のジェフリー・S・バーニアー氏はトラベルビジョンの取材に対し、「3%に削減するよりゼロのほうが良いという声が多く、現在の最善策を選んだ」とこたえた。バーニアー氏は「発券手数料が3%ではトランスアクション・フィーの導入など、旅行会社が新たな対応をとることは難しいと認識した。市場が厳しい環境にあるからこそ、前向きな対応を選択したい」と述べ、旅行会社からの意見を踏まえた上の決定であるという経緯を説明。ただし、「短期的には変化がともない、厳しいと思う」とゼロ・コミッションが与える影響も理解している姿勢を示したうえで、「長期的には良い選択ではないか。航空会社、旅行会社、消費者のすべてが利益を得る環境、ビジネスにしなければならない」と、将来の展望を視野にした施策であることを強調した。

 旅行会社側からも、ユナイテッド航空(UA)が5月2日に旅行会社にコミッションを現行の5%から3%への削減を通知した際に、ゼロ・コミッションを意識した発言が多く聞かれていた。ただ、航空会社の販売戦略の変更は、旅行会社のビジネスにも変化をもたらす。これについて、「公示運賃以外の運賃は、市場全般に80%から85%(が流通している)と想定される。NWはこうした運賃を市場に多く提供しており、流通面で旅行会社は重要。単純往復を含め、旅行会社を通じて販売をしていきたい」とこれまでの関係を維持する考えを強調。また、ビジネスクラスの利用が多く、収益性の高い法人需要についても「引き続き、強化をしていきたい」としている。

 さらに、「旅行会社には、顧客からコンサルティング、要望を聞きだし、航空座席を販売する以外に、ホテル、送迎といった地上手配など、航空会社とは異なる役割がある」といい、NWは「それぞれの旅行会社にあわせた商品の多様化をはかり、営業スタッフのスキルを高めていく。ビジネスクラス・ラウンジの拡充、米国内の空港における日本人スタッフによる案内サービスなど、プロダクトとサービスの向上を同時に進め、旅行会社、消費者に選ばれることをめざす」という。また、2010年の首都圏空港の発着枠が増加することをにらみつつ、一般論として「準備は事前におこなう必要がある」と、今後の航空需要の拡大に備えるための方策でもあることを示唆した。

 今後の旅行会社との関係は、「(旅行会社が)どのようなビジネスモデルを選択するかが鍵」とし、NWはそれぞれの旅行会社の方針にあわせたセールスを展開し、停滞する海外旅行市場の拡大につながる施策を展開する考えだ。


▽関連記事
発券手数料ゼロ−リテールも含み流通激変、JTBは手数料収受の厳格化を検討(2008/05/28)

ノースウエスト航空、10月1日から発券手数料を廃止−ゼロを旅行会社に通知(2008/05/27)

ユナイテッド航空、7月から発券手数料3%に引き下げ−「ゼロ」時代が迫る(2008/05/07)

アメリカン航空、UAに追随−1割ほどの影響も対応検討、次はGDS/CRSコストが焦点(2008/05/13)

コンチネンタル航空、7月から発券手数料率を3%に−旅行会社に通知(2008/05/15)