全日空、燃油サーチャージを値上げ−幼児は廃止も新IT運賃は継続検討

  • 2008年5月19日
 全日空(NH)は7月1日から9月30日までの発券分について、燃油サーチャージを片道で最大8000円値上げした。値上げ幅が最大となるのはヨーロッパ、北米、中東路線で、現在の片道2万円から2万8000円となる。また、最小は2500円から3500円となった韓国路線。燃油サーチャージ問題については、5月7日から日本旅行業協会(JATA)が日系航空会社2社と外国航空会社60社に要望書を提出していたが、NHはその要望のうち、「幼児の燃油サーチャージの廃止」に応え、座席を必要としない幼児への課金は、必要なくなる。なお、その他の点は「検討を継続する」(全日空広報室)とした。

 JATAの要望書では(1)サーチャージ込みの旅行商品造成用運賃「新IT運賃」、(2)公示運賃に対する総額表示の実施と代行徴収に対する対価の支払い、(3)幼児に対する燃油サーチャージの廃止、(4)説明責任を果たすべき航空会社側の広報活動や周知方法の改善、の4点を要望。特に新IT運賃については、燃油サーチャージ問題対策チーム(FSCチーム)リーダーの石山醇氏が「引き下がれない」と語るなど、強い姿勢で臨んでいる。NHは、「今後の予定は一切未定」としているが、石山氏は「6月にはめどをたてたい」とコメントするなど、来年上期商品用の仕入れ交渉時には導入にこぎつけたい考えで、日本航空(JL)とNH、外国航空会社の今後の動向に注目が集まる。


 大手旅行各社は夏の早期取り込みの施策を展開しているところ。ジャルパックでは円高還元セールについて、「売れ行き状況が好調」、ジェイティービーでは「夏の音楽祭など、高額でも目的のしっかりした商品が売れている」としている。また、エイチ・アイ・エスでは燃油サーチャージを含んだ総額表示商品でゴールデンウィーク明けのセールを展開したが、「昨年のフェアと比べて2桁の増加」(経営企画室)としており、総額表示にも手ごたえをつかんでいるよう。その他各社ともNHの燃油サーチャージ額の増加による影響について、直接的な見通しは示していないが、早期予約、目的の明確なツアー、総額表示が効果的な販売につながるかが今夏の販売のキーワードになりそうだ。


▽NH燃油サーチャージ額(路線/改定後/現行)
欧州・北米・中東/2万8000円/2万円
ハワイ・タイ・インド・シンガポール・マレーシア/2万円/1万4000円
香港・台湾・グアム・ベトナム/1万500円/8000円
中国/8500円/6500円
韓国/3500円/2500円



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