名鉄観光と内外航空が業務提携、得意分野で相互補完し3年後に50億円増収へ

  • 2008年5月13日
 名鉄観光サービスと内外航空サービスは5月12日、業務提携契約を締結した。名古屋鉄道グループと伊藤忠商事グループが協業の可能性を探る中で、旅行分野の両社が「お互いにないものを持っており、顧客を奪い合う関係にはない」(名鉄観光サービス経営企画部)と判断し、相互の得意分野を有効活用したビジネス展開と、顧客紹介による需要発掘をめざす。資本提携は予定しないものの、人的交流の可能性もあり、3年後に両社で50億円の増収効果をねらう。業務提携の具体的な方策は、両社の社長を委員長とした「業務提携推進委員会」を設置し、5月12日に第一回会合を開催。委員会に分科会を設けており、具体的な提携内容を詰め、10月初旬に委員会によるレビューを実施する予定だ。

 業務提携の柱は、(1)法人企業・団体組織向けのビジネス、(2)個人向けビジネス、(3)仕入れ業務、(4)ITインフラの活用、の4点。法人・団体向けビジネスでは、内外航空の国内出張と国内旅行、訪日旅行の事業を名鉄観光にアウトソーシングし、名鉄観光の海外出張事業を内外航空が受け、それぞれの得意分野に経営資源を集中する。また、名鉄観光の顧客に、これまで提案していない海外出張の提案を行い、伊藤忠商事グループや同グループ各社の取引先の顧客に対して、名鉄観光が得意とする団体旅行や国内出張、訪日旅行の提案を強化する。

 個人向け事業については、オープンマーケットとクローズマーケットに分け、オープンマーケットでは、インターネットを活用。例えば、名鉄観光サイトに内外航空サイトで提供する海外出張コンテンツとリンクし、従来はウェブサイトで取り扱っていない分野を相互利用し、総合的な旅行サービスの提供による一般消費者の利用拡大を図る。クローズマーケットでは、顧客の法人、団体役職員を対象に、組織内のイントラネットでの販売を視野にいれる。仕入れ業務では、航空券を中心に、相互の強みを活かして効率化を図る。また、ITインフラの活用は、名鉄観光が既に所有するシステムを活用し、ウェブサイト向けのシステムなど、共同インフラ機能の構築を検討する。

 なお、目標とする増収分の50億円の内訳は、海外出張事業が20億円、国内の法人・団体向け事業が20億円、国内の個人向け事業が10億円。各分野の現在の取扱高は、海外出張では名鉄観光が5億円、内外航空が82億円、国内は法人・団体、個人の合算は名鉄観光が865億円、内外航空が13億円だ。