全日空、ホテル売却益で過去最高の純利益−08年度の燃油費は2566億円を想定

  • 2008年5月1日
 全日空(NH)の平成20年3月期(平成19年4月1日〜平成20年3月31日)連結決算は、売上高が前年比0.1%減の1兆4878億2700万円、営業利益8.5%減の843億8900万円、経常利益9.7%減の565億2300万円、純利益は96.4%増の641億4300万円であった。営業収入は過去最高を記録したほぼ同じ水準となり、機材更新にともなう営業費用の増加により、営業利益は減少、ただしホテルの売却益を上半期に計上したことが効き、純利益は過去最高を記録した。

 航空事業は売上高4.2%増の1兆3016億円、営業利益2.2%減の779億円で、このうち国内線は500億円程度、国際線は250億円程度という。国内線は競合他社や鉄道との競争が激しい中、需給に応じた価格設定を行うなど、効果的に安い価格を展開による顧客の獲得、セールスプロモーションによる増収が売上高の増加に寄与した。また、国際線はビジネス需要を中心に、ビジ割をはじめとするペックス運賃の値引きで、燃油サーチャージ額の設定が上がる中できめ細かい価格設定で堅調に推移したという。路線別では、ギョウザやチベット問題のある中国線は厳しい状況であるものの、欧米、アジアを中心に堅調に推移し、売上高は11.9%増を記録した。なお、羽田/上海線をはじめとする羽田発の国際線は利用率が80%程度で推移しており、横浜や東京西部の需要を着実 に獲得しているという。

 燃油高騰で注目を集めている「油」だが、NHは4月30日の会見で、2006年度は総額1892億円、2007年度は2198億円で306億円の費用増額となり、このうち燃油サーチャージなど運賃への転嫁分は290億円であったという。2008年度は2566億円となる見込みで、350億円程度の増額のうち、運賃転嫁分は300億円程度を見込んでいるという。燃油サーチャージ額については、ゴールデン ウィーク明けに7月以降の適用分を改めて検討、発表する方針だ。

 今期については景気の不透明感があるものの、市場に適した商品の投入、個人需要の獲得をめざした運賃政策による競争力の強化で引き続き増収をめざす。特に、羽田のネットワーク向上を目指し、旅行需要への刺激を行う。ただし、 燃油費は350億円の増加を予想しており、これまで続けてきた収益基盤の確立を継続していく。業績予想は売上高1兆5100億円、営業利益800億円、経常利益520億円、当期純利益270億円としている。


▽主要事業の売上高
■航空運送事業
・国内線旅客収入 7395億1400万円(1.9%増)
    旅客数 4555万6807人(2.0%減)
    座席キロ 626億5075万7000席キロ(0.4%増)
    利用率 63.7%(1.3%ポイント減)
・国際線旅客収入 3115億7700万円(11.9%増)
    旅客数 482万6520人(6.0%増)
    座席キロ 282億8531万1000席キロ(6.3%増)
    利用率 75.3%(0.4%ポイント減)
※国際線輸送実績はユナイテッド航空の関西/ホノルル線、エバー航空のコードシェアを含む

■旅行事業
パッケージ商品収入(国内) 1503億300万円(6.9%増)
パッケージ商品収入(国際) 439億7800万円(3.7%減)