書評『エアバスA380 まるごと解説』−秋本俊二著

著者が、実際に初便に搭乗した体験から、SQの機内設備、サービス、またこの機材が搭乗した環境、機材そのものに関する説明とあらゆる部分を網羅している。カウントダウンのテープカットから、離陸の瞬間にいたる「背中に強烈な加速パワーを感じ・・・機はやがて、音もなく、ふわりと宙に舞い上がりました」のあたりは、読者に「そのとき」を体験させてくれる。非常に静かな機内であることから設計コンセプトに活かされた環境への考え方まできちんと説明されており、読み応えがある。写真を多く使っていることも本書の特徴だ。最後には今後、エミレーツ航空(EK)、エールフランス航空(AF)、ルフトハンザドイツ航空(LH)、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、大韓航空(KE)など導入予定の話におよぶところは、各社からの発言や著者の見解も織り込みながら、日本就航の予想を立てている。
旅行会社からすると、成田でのA380型機の対応施設はどうであるか、あるいは関空など、日本の空港施設、サービスについては足りないかもしれない。ただ、それはSQが就航する5月20日までとっておく、ということだろうか。ただ、「A380」を理解するためのバイブルといえるもので、読後感として「わかった」「すっきり」「乗ってみたい」という感想を導くだろう。
発行はソフトバンク・クリエイティブ、定価は税込み1000円。
▽サイエンス・アイ新書「エアバスA380 まるごと解説」
http://sciencei.sbcr.jp/archives/2008/03/sia380.html
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