
国土交通省は3月13日と14日、第3回観光関係人材育成のための産学連携検討会議を開催、55大学の87名、業界から71名、23自治体の29名など約196名が参加している。開会挨拶で国交省総合観光政策審議官の本保芳明氏は、「国際競争で勝ち抜くためには、法制度やIT、金融、通信など社会経済システムを強化する必要があるが、最後は人材。産学官が一体となった取り組みをする必要がある」と強調した。
今回から会議出席対象者を、観光関係学科などのある大学と業界団体の従来の固定メンバーから、企業の経営幹部や観光分野に関心を持つ教員、他省庁や地方自治体などにも拡大。また、行政側から一方的に情報を伝えるのではなく、具体的なテーマに基づいた相互の意見交換が出来る場を設けた。本保氏は「参加者の立場が異なるので考えが1つにまとまるとは思わない。ただし、今回の会議をそれぞれの問題把握と理解を深める場とし、発展していくためものとして位置づけたい」と呼びかけた。

なお、会議では、セントラルフロリダ大学でホスピタリティ経営学部観光学科准教授の原忠之氏が「観光産業の経営を担う人材育成のあり方」について講演。原氏は「日本について、人間の資質、観光資源などに高い国際競争力の潜在性がある」としたものの、国家レベルの戦略を地方や企業レベルで実行できる人材が必要と述べ、「産業界もレベルを上げる必要があるが、大学側としては産業界が求める人材の育成が重要」とした。そのたたき台として、定期的に企業のニーズを聴取し、カリキュラムに盛り込み、ホスピタリティ経営手腕の育成に努めるアメリカの実例を紹介。日本での効果的な人材育成モデルの構築に向けた議論の方向性として、まずは産学官が正確に現状把握と認識共有をし、戦略をたてることが重要と説いた。
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