取材ノート:「必ず来る航空革命」、変化とは何か−JATA経営フォーラムから
航空革命とは、航空自由化や下限撤廃など、航空会社の市場に提供する商品に対する規制緩和をはかることで、競争環境をつよめ、結果的に消費者に利になるような価格、サービス提供をめざしていく方向性が強まることで起こる変化を指している。JATA経営フォーラムの分科会「必ず来る航空革命」では、モデレーターにジェイティービー常務取締役の伊藤正人氏が示した予測を踏まえ、ANAセールス取締役会長の北林克比古氏、ノースウエスト航空日本地区営業本部長の伊藤正彰氏、日本航空インターナショナル執行役員の山口栄一氏、阪急交通社東日本営業本部仕入部部長の木村貞則氏で議論を交わした。
〜ジェイティービー常務取締役の伊藤正人氏が示す2010年から11年にかけて起こる予測〜
1:日本全体で路線は増える
2:空港別で首都圏は増加、関西圏は現状並み、もしくは増加、中部はきびしい
3:日本全体の総座席数は路線が増加する割合ほど増えないが、ある程度増える可能性
4:首都圏での総座席数は現状並み、もしくは増える、中国・アジアが牽引
5:単純往復便が増える(直行便)、ロードファクターがあがる
6:流通はB2Cが増える
7:チャーターが増える
阪急・木村氏 私は次の動きを予想している。成田、羽田で増える発着枠もフルで使われていくだろう。機材はB747型機からB767型機への変更が進み、座席数が約85%になる。これにより、羽田、成田が増枠した場合、運航頻度は増えるが供給量は今と変わりないとみる。安価な商品の売れ行きが悪くなっており、こうした側面からは2000万人の達成は厳しい。航空運賃では、航空会社が決めた運賃単体を販売する点では厳しくなっていく。
主催、手配旅行など付加価値の付くところが勝負どころ。ただし、旅行業法は1ヶ月前からキャンセル料の発生だが、ペックスは予約から72時間でキャンセル料が発生し、コミッションが無い。この点は航空会社と話をする必要がある。2010年頃にはコミッションは今より少なくなる。
ヨーロッパ、アメリカでは旅行会社が絞られており、日本の旅行業界にオープンスカイが影響する場合、業界も変わらないと現実的に対応できない。運賃の多様化は、(旅行会社が)本当についていけるかという課題でもある。IT化を実現しても、(担当者がシステムや運賃を)扱うスキルがないとお客様に説明できない。個人が営業力をつけ、価値競争に方向性を持っていかないと、業界としても厳しい環境に陥る。
▽発着枠の増加の影響
ANAセールス・北林氏 容量の拡大は、運賃が下がり、そして競争者が増えることだ。そもそも航空会社間の競争に生き残らなければならない、というのが2010年に起こることだ。
日本航空インターナショナル・山口氏 2つぐらいのポイントがある。これからどこに路線を展開するかという点では、日本の企業の生産拠点が海外に移りつつあり、その動きに合わせ、路線を展開することになる。BRICSが伸びており、増やしていくだろう。ベトナム、中近東など業務需要が先に動いているが、過去を振り返ればタイでは、観光が後からついてきた事例もある。ビジネス需要を主眼として昨年末からデリー線をデイリー運航としているが、インド観光はこれから。ここは旅行業界とレジャーの可能性について取り組み、一緒にやっていきたい。今後も観光の可能性もあるところに、一緒に取り組んで欲しい。
もうひとつは、直販だが、世の中の流れとして増えていくと思う。ただし、特に、国際線は(直販の)パーセンテージが低く、簡単に販売できるものではない。ビザ、乗継ぎなどの問題があり、全てを直販できるとは考えていない。ここは旅行会社に販売していただきたい需要だ。国内で直販が増えているのは、単純往復の増加があるからだ。
▽LCCの参入
木村氏 LCC、つまり何がローコストかは難しいが、例えば通常の運賃が6万円のところ、3万円というLCCは、羽田や成田に入ってこない。静岡空港であれば可能性はあるが、需要がついて来ないだろう。ただし、ジェットスターなどの例もあり、6万のところ5万円程度の値段であれば可能性があるが、旅行業界の対応もむずかしい。
ノースウエスト航空・伊藤氏 アメリカでは例えば、シカゴの場合、オヘア空港ではなく、セカンダリーのミッドウェイに入る、といった手法を用いて隙間で伸びてきた。それを考えると、木村氏の言うとおり、チャンスはわからないが、同じことは静岡、将来の茨城の百里空港などにも可能性はある。ただし、その時にはLCCが空港までのアクセスの利便性で大きなハンディがあり、それに見合うものが提供できるかが問われる。
山口氏 LCCはウェブサイトで販売するモデルであり、旅行会社の立場から使いやすいのだろうか。ジャルウェイズ、JALエクスプレスなど、大幅なローコストをめざしていくには日本の外に生産を移さないと出来ない。徹底したローコストがどこ(の空港)に入れるのか、日本の消費者の方々が本当に使うのか、あるいは海外からのインバウンドは増えるのか、日本の旅行会社が使うのか、こうした疑問にピンと来ない。
▽チャーター便の展開
山口氏 日本航空は積極的に展開している。羽田発で280便、トータルで約900便と1日1本以上を飛ばしている。現在は余剰機材をうまく運用しており、積み上げてきた数字は大きいものになる。ただ、チャーター便はフェリーが発生すると、余計な費用が発生することから、通常は定期便のほうが値ごろ感がある。バック・トゥ・バックで運航するとコスト下がることもあるが、(日本には)チャーター便の専門会社が参入すると(競争環境が)異なってくる。
木村氏 成田、羽田で25%増とみており、これから増えていくだろう。関西、名古屋に就航する外資系航空会社が今後、成田に就航する可能性も視野に入れる必要がある。地方から東京経由で行くより、燃費効率の良いボーイング787型機を使い、直行で行くほうが安いのであれば、増えていく。また、九州、中国・四国、北海道などの地域は県や市の支援があり、リゾート、近距離路線が増えていくと思う。
伊藤氏 ここ数年はチャーター便に脚光があたり、期待感が高いと認識している。地方には定期便が就航していないデスティネーション、需要の高い時期に臨時便で対応するという考えは消費者にとって大きなメリットだろう。別の違う角度から考えると、チャーター便は(買取という)リスクある。この対応はチャーター便(の販売)を優先し、定期便がおろそかになる側面を生む。チャーター便が増える分だけ、(旅行者数が)増えればいいが、チャーター便を優先すると、定期便を運航する航空会社は年間の路線収支を重視しており、ピーク時に旅客が減少すると撤退もある。年間を通した販売計画でないと、さまざまな場所でブレを起こしてしまう。
▽旅行業界に起こる変化
北林氏 航空座席の販売の仕組みが変わってくる。航空会社が代理店へ提供するアロットについて、未使用の場合に(旅行会社が)ノーリスクで返還し、航空会社が単体で負担することは、次第に難しくなってくる。具体的な解決策はないが、旅行代理店と航空会社がシェアするように変化していくのではないか。知恵を絞って工夫する余地を見いだしたい。また、運賃の自由化で航空会社間の競争が激しくなり、運賃が複雑な体系を採っていくだろう。このため、旅行会社はコンサルティングで新しいジャンルのビジネスを切り開いていくのではないだろうか。
木村氏 リスクのシェアは今後、2年から3年に起こる話だろう。ITについては年間の買取、あるいは半年やデイリーでの買取も出てくるだろう。ただし、ITは残る。ペックス運賃は直販で取扱いになる。
航空券の販売では、単純往復の収入は利益につながるが、乗り継ぎは儲からない。2ヶ国から3ヶ国を周遊する人は相談に来るが、収益性は良くない。こうした流れはメーカーと消費者の関係であり、従うしかない。(旅行会社の)活躍はIT座席をどのように買い取り、企画力で売りぬいていくか、だろう。リピーターとして消費者が戻って来ていただければ、私見だが勝ち残れると思う。
山口氏 BtoCは航空会社だけでなく、ウェブサイトでモノを購入する人が増えてくるという流れに乗ったもの。効率化や合理化の問題だが、ウェブサイトでの販売競争は高まるだろう。国際線はウェブサイトでの販売は、あまり(消費者に)なじみがあるものでないが、旅行素材の組み合わせ、団体販売など旅行会社にしていただくことは必ず残っていく。
伊藤氏 新たな販売方法であるウェブは、ブレーキがかからず(?)、流れに乗っている状況だ。ただし、B2Cの限度はあり、引き続き、消費者が旅行会社に相談しながら航空券なり、旅行商品を購入することになる。国内航空券と違い、ホテルなど付帯する手配が大きい海外旅行はチャンスも大きい。さらに、航空券そのものが多くの種類を増やしていく流れの中で、コンサルティングの機能が増えてくる。お客様から料金を頂戴できるくらい専門性を高めていく必要がある。
▽航空会社のパートナーとしての旅行会社の機能
山口氏 これまでは、乱暴な売り方をしていた。今後は機材のダウンサイズもあり、お客様のサービス、サポート体制をきちんと構築していくことが大切だ。それは例えば、毎日、国内線に搭乗する多くの旅客を含め、どのような方が航空機を利用されているかに気を配っていく。さらに信頼、安心感が大切で、これからの競争に生き残るため、大切になってくる。旅行会社とは共同で需要をつくること、現場に根ざした働きかけをしていきたい。ジャンボ機のように大量輸送をする誘惑にかられるが、ひとりひとりの旅客を大切にすることをやっていきたい。
伊藤氏 外国航空会社として就航60周年を迎え、旅行会社との信頼関係で成り立ったということを強調したい。このところ、お客様のニーズが変化してきている。これまではマスに対応していたが、以前と同じ対応では同じ結果が得られない。つまり、満足が多様化している。いかに、こうしたニーズを理解して取り込んでいくかが課題だ。
例えば、成田や羽田の国際線の議論が一方にありながら、アメリカに関して渡航者数はこの数年、増えていない。航空会社の努力が不足しているが、プロモーションをしないと需要は伸ばせない。JATA、現地の観光局などを含めて努力をして、ニーズの多様化に対応していく必要がある。
ニーズが多様化するなかで、パッケージツアーのルールが現在の消費動向と一致していない。これについては、ぜひ、JATA含め、時代にあった見直しを加えていただきたい。例えば、ピーク時に二重、三重の予約による座席の有効活用がされていない例がある。制度を見直していくことで、需要を確実に取り込めるのではないだろうか。
北林氏 2000年ピークに対して需要は横ばい。JATAが掲げる2000万人という目標があり、航空座席の供給は増えていくが、足元の需要が(弱含みで)これではおぼつかない。今回の変化を契機として知恵を使いたい。
木村氏 価格から価値へ競争のフィールドを見出せるか。値段だけの勝負に走る時代ではない。航空会社は数のインセンティブの話はやめ、本当の価値を見出すようにしていきたい。お客様が2回、3回とリピートするようにしないといけない。
▽参考記事
◆国交省、日本発国際航空運賃の下限撤廃を通知−JL以外の申請は現状なし(2008/01/29)
◆鈴木航空局長、羽田再拡張後の枠配分で懇談会−燃油額値下げは良い方向(2008/02/13)
◆国交省、チャーター便促進でさらに運用ルールを緩和−個札や運航頻度で(2007/08/03)
◆日本と香港の航空自由化、香港エクスプレスが那覇就航へ−鹿児島、岡山も検討(2008/02/04)
◆日本/タイ航空交渉、自由化に合意−韓国に続き2ヶ国目(2007/12/03)
◆日韓航空協議、自由化で合意−日韓交流促進に冬柴国交相が期待感を表明(2007/08/06)
◆鈴木航空局長、航空交渉で「日本側のメリット」を追求−羽田の国際線枠増で(2007/02/13)
◆国交省、成田国際空港並行滑走路北伸を許可、整備費約430億円、工事に約3年半(2006/09/12)
▽関連記事
◆航空会社と旅行会社がリスクを分け合うかたちに−JATA経営フォーラム(2008/02/27)
〜ジェイティービー常務取締役の伊藤正人氏が示す2010年から11年にかけて起こる予測〜

2:空港別で首都圏は増加、関西圏は現状並み、もしくは増加、中部はきびしい
3:日本全体の総座席数は路線が増加する割合ほど増えないが、ある程度増える可能性
4:首都圏での総座席数は現状並み、もしくは増える、中国・アジアが牽引
5:単純往復便が増える(直行便)、ロードファクターがあがる
6:流通はB2Cが増える
7:チャーターが増える
阪急・木村氏 私は次の動きを予想している。成田、羽田で増える発着枠もフルで使われていくだろう。機材はB747型機からB767型機への変更が進み、座席数が約85%になる。これにより、羽田、成田が増枠した場合、運航頻度は増えるが供給量は今と変わりないとみる。安価な商品の売れ行きが悪くなっており、こうした側面からは2000万人の達成は厳しい。航空運賃では、航空会社が決めた運賃単体を販売する点では厳しくなっていく。

ヨーロッパ、アメリカでは旅行会社が絞られており、日本の旅行業界にオープンスカイが影響する場合、業界も変わらないと現実的に対応できない。運賃の多様化は、(旅行会社が)本当についていけるかという課題でもある。IT化を実現しても、(担当者がシステムや運賃を)扱うスキルがないとお客様に説明できない。個人が営業力をつけ、価値競争に方向性を持っていかないと、業界としても厳しい環境に陥る。
▽発着枠の増加の影響
ANAセールス・北林氏 容量の拡大は、運賃が下がり、そして競争者が増えることだ。そもそも航空会社間の競争に生き残らなければならない、というのが2010年に起こることだ。
日本航空インターナショナル・山口氏 2つぐらいのポイントがある。これからどこに路線を展開するかという点では、日本の企業の生産拠点が海外に移りつつあり、その動きに合わせ、路線を展開することになる。BRICSが伸びており、増やしていくだろう。ベトナム、中近東など業務需要が先に動いているが、過去を振り返ればタイでは、観光が後からついてきた事例もある。ビジネス需要を主眼として昨年末からデリー線をデイリー運航としているが、インド観光はこれから。ここは旅行業界とレジャーの可能性について取り組み、一緒にやっていきたい。今後も観光の可能性もあるところに、一緒に取り組んで欲しい。
もうひとつは、直販だが、世の中の流れとして増えていくと思う。ただし、特に、国際線は(直販の)パーセンテージが低く、簡単に販売できるものではない。ビザ、乗継ぎなどの問題があり、全てを直販できるとは考えていない。ここは旅行会社に販売していただきたい需要だ。国内で直販が増えているのは、単純往復の増加があるからだ。
▽LCCの参入
木村氏 LCC、つまり何がローコストかは難しいが、例えば通常の運賃が6万円のところ、3万円というLCCは、羽田や成田に入ってこない。静岡空港であれば可能性はあるが、需要がついて来ないだろう。ただし、ジェットスターなどの例もあり、6万のところ5万円程度の値段であれば可能性があるが、旅行業界の対応もむずかしい。
ノースウエスト航空・伊藤氏 アメリカでは例えば、シカゴの場合、オヘア空港ではなく、セカンダリーのミッドウェイに入る、といった手法を用いて隙間で伸びてきた。それを考えると、木村氏の言うとおり、チャンスはわからないが、同じことは静岡、将来の茨城の百里空港などにも可能性はある。ただし、その時にはLCCが空港までのアクセスの利便性で大きなハンディがあり、それに見合うものが提供できるかが問われる。

▽チャーター便の展開
山口氏 日本航空は積極的に展開している。羽田発で280便、トータルで約900便と1日1本以上を飛ばしている。現在は余剰機材をうまく運用しており、積み上げてきた数字は大きいものになる。ただ、チャーター便はフェリーが発生すると、余計な費用が発生することから、通常は定期便のほうが値ごろ感がある。バック・トゥ・バックで運航するとコスト下がることもあるが、(日本には)チャーター便の専門会社が参入すると(競争環境が)異なってくる。
木村氏 成田、羽田で25%増とみており、これから増えていくだろう。関西、名古屋に就航する外資系航空会社が今後、成田に就航する可能性も視野に入れる必要がある。地方から東京経由で行くより、燃費効率の良いボーイング787型機を使い、直行で行くほうが安いのであれば、増えていく。また、九州、中国・四国、北海道などの地域は県や市の支援があり、リゾート、近距離路線が増えていくと思う。
伊藤氏 ここ数年はチャーター便に脚光があたり、期待感が高いと認識している。地方には定期便が就航していないデスティネーション、需要の高い時期に臨時便で対応するという考えは消費者にとって大きなメリットだろう。別の違う角度から考えると、チャーター便は(買取という)リスクある。この対応はチャーター便(の販売)を優先し、定期便がおろそかになる側面を生む。チャーター便が増える分だけ、(旅行者数が)増えればいいが、チャーター便を優先すると、定期便を運航する航空会社は年間の路線収支を重視しており、ピーク時に旅客が減少すると撤退もある。年間を通した販売計画でないと、さまざまな場所でブレを起こしてしまう。
▽旅行業界に起こる変化

木村氏 リスクのシェアは今後、2年から3年に起こる話だろう。ITについては年間の買取、あるいは半年やデイリーでの買取も出てくるだろう。ただし、ITは残る。ペックス運賃は直販で取扱いになる。
航空券の販売では、単純往復の収入は利益につながるが、乗り継ぎは儲からない。2ヶ国から3ヶ国を周遊する人は相談に来るが、収益性は良くない。こうした流れはメーカーと消費者の関係であり、従うしかない。(旅行会社の)活躍はIT座席をどのように買い取り、企画力で売りぬいていくか、だろう。リピーターとして消費者が戻って来ていただければ、私見だが勝ち残れると思う。
山口氏 BtoCは航空会社だけでなく、ウェブサイトでモノを購入する人が増えてくるという流れに乗ったもの。効率化や合理化の問題だが、ウェブサイトでの販売競争は高まるだろう。国際線はウェブサイトでの販売は、あまり(消費者に)なじみがあるものでないが、旅行素材の組み合わせ、団体販売など旅行会社にしていただくことは必ず残っていく。
伊藤氏 新たな販売方法であるウェブは、ブレーキがかからず(?)、流れに乗っている状況だ。ただし、B2Cの限度はあり、引き続き、消費者が旅行会社に相談しながら航空券なり、旅行商品を購入することになる。国内航空券と違い、ホテルなど付帯する手配が大きい海外旅行はチャンスも大きい。さらに、航空券そのものが多くの種類を増やしていく流れの中で、コンサルティングの機能が増えてくる。お客様から料金を頂戴できるくらい専門性を高めていく必要がある。
▽航空会社のパートナーとしての旅行会社の機能
山口氏 これまでは、乱暴な売り方をしていた。今後は機材のダウンサイズもあり、お客様のサービス、サポート体制をきちんと構築していくことが大切だ。それは例えば、毎日、国内線に搭乗する多くの旅客を含め、どのような方が航空機を利用されているかに気を配っていく。さらに信頼、安心感が大切で、これからの競争に生き残るため、大切になってくる。旅行会社とは共同で需要をつくること、現場に根ざした働きかけをしていきたい。ジャンボ機のように大量輸送をする誘惑にかられるが、ひとりひとりの旅客を大切にすることをやっていきたい。

例えば、成田や羽田の国際線の議論が一方にありながら、アメリカに関して渡航者数はこの数年、増えていない。航空会社の努力が不足しているが、プロモーションをしないと需要は伸ばせない。JATA、現地の観光局などを含めて努力をして、ニーズの多様化に対応していく必要がある。
ニーズが多様化するなかで、パッケージツアーのルールが現在の消費動向と一致していない。これについては、ぜひ、JATA含め、時代にあった見直しを加えていただきたい。例えば、ピーク時に二重、三重の予約による座席の有効活用がされていない例がある。制度を見直していくことで、需要を確実に取り込めるのではないだろうか。
北林氏 2000年ピークに対して需要は横ばい。JATAが掲げる2000万人という目標があり、航空座席の供給は増えていくが、足元の需要が(弱含みで)これではおぼつかない。今回の変化を契機として知恵を使いたい。
木村氏 価格から価値へ競争のフィールドを見出せるか。値段だけの勝負に走る時代ではない。航空会社は数のインセンティブの話はやめ、本当の価値を見出すようにしていきたい。お客様が2回、3回とリピートするようにしないといけない。
▽参考記事
◆国交省、日本発国際航空運賃の下限撤廃を通知−JL以外の申請は現状なし(2008/01/29)
◆鈴木航空局長、羽田再拡張後の枠配分で懇談会−燃油額値下げは良い方向(2008/02/13)
◆国交省、チャーター便促進でさらに運用ルールを緩和−個札や運航頻度で(2007/08/03)
◆日本と香港の航空自由化、香港エクスプレスが那覇就航へ−鹿児島、岡山も検討(2008/02/04)
◆日本/タイ航空交渉、自由化に合意−韓国に続き2ヶ国目(2007/12/03)
◆日韓航空協議、自由化で合意−日韓交流促進に冬柴国交相が期待感を表明(2007/08/06)
◆鈴木航空局長、航空交渉で「日本側のメリット」を追求−羽田の国際線枠増で(2007/02/13)
◆国交省、成田国際空港並行滑走路北伸を許可、整備費約430億円、工事に約3年半(2006/09/12)
▽関連記事
◆航空会社と旅行会社がリスクを分け合うかたちに−JATA経営フォーラム(2008/02/27)