カンタス航空、2010年国際線拡張前に「新しい旅行」定着を−競争力を高める

荻野氏は、好調なオーストラリア経済やオーストラリアの豊富な資源などに支えられたビジネス需要により、「座席利用率は極めて高い」という。オーストラリアからの渡航需要の高まりもあり、日本の需要が落ち込む時期をオーストラリア発の需要で相互に補完している状況だという。1月から2月は、オーストラリア発のスキー需要が高く、札幌線の運休も受けて、満席となる日も多いという。ただし、成田と羽田の再拡張による新規参入の機会が増えた場合、「競合デスティネーションが増える」ことから、それ以前に消費者の需要をつかむ商品を提供し、競争力を高めたいという。「航空座席だけ売っていればいいというわけではない。マーケットを見なければ」とし、若年層の海外旅行離れを例に、「なぜ行かないのか、その金はどこに行ったのかを考えなければならない」と語る。
新しい商品では、「自然や世界遺産など、すでに定番化したテーマは踏襲し、2割程度の割合で新しい商品を試したい」という。例えば、「オーストラリアの課題であるリピーター獲得のため、主流のパッケージだけでなく、FITやシニア層にも力を入れる」という。フライ&ドライブも中期的な視点から取り組むほか、食やワイン、スポーツなど「徐々に浸透してきており、自然に旅行需要につなげられれば」という。重要なセグメントとして、20代から30代の女性層に対し「『なんとなくいい』と思ってもらえることが重要」だ。パンフレットでも、ゲートウェイとなる都市ではなく、例えばリゾートを前面に打ち出して質の高い写真を多用するなど、「見せ方も大事」という。
旅行会社には、「新しい商品は(旅行会社にとって)リスク。QFとしてそのリスクをシェアする」とし、旅行会社の負担を軽減しつつ、協力する方針を強調。これまでオーストラリアの取扱いがない旅行会社にも、新たにセールスキットを作成して2007年夏からアプローチを開始しており、これまで約7社が取り扱いを始めているという。