楽天トラベル、宿泊単品から総合旅行サイトへ−岡武社長「競合はリアル店舗」

  • 2008年2月13日
 楽天トラベル代表取締役社長の岡武公士氏は2月12日に開催した「楽天トラベル新春カンファレンス」で、「2007年度の取扱宿泊人数はジェイティービーの85%程度。08年目標は96%の2400万人超で、JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行に次いで4位になる見込み」と好調さをアピールした。ただし、大手と比べ団体・グループで送客量が負けるとし、「コンペティターはリアルエージェント」と述べ、今後は「総合化」「高付加価値サービスの提供」「販売チャネル拡大」に取り組む方針だ。

 例えば、ダイナミックパッケージ「ANA楽パック」は「今は航空券とホテルの組み合わせだけだが、今後は空港までのバスや現地のレンタカー、添乗員など手配できるようにしたい」と、市場に流通するパッケージツアーを意識した対応策を披露。既に営業は活動を開始しており、年内にはデータベースの完成、うまくいけば商品提供も開始したい考えだ。08年は前年比で130%増をめざすが、1月、2月はそれ以上のペースで進捗しているという。また、客室の仕入では3年前から買取を開始。これは、通年で同社の取扱いシェアが高まっているにもかかわらず、繁忙期の良い時期に限り従来型の取引の大手に卸す傾向が強いことから、あえてリスクを負ってでも買取りをして、通年で商品の提供力を高め、消費者へ利便性をアピールするねらい。宿泊施設の担当スタッフ(ITC)にバイヤーの役割をまかせ、需要が見込める施設は、今後も取扱いの数量を増やしていく考えだ。

 また、インバウンドも利用が増加。07年には英語、韓国語、中国語サイトのリニューアルとともに、インバウンドのプレミアムページをオープンし、06年比で第1四半期は160.1%増、第2四半期では204.4%増、第3四半期では188.2%増、第4四半期では77.4%増と好調に推移しており、今後もさらに力を入れる。

 このほか、高付加価値サービスの提供として、自社予約ASPシステムやモバイル管理画面、一括清算サービス、検索など契約施設向け、ユーザー向けの新機能を開始しており、今年はそれらの拡販を推進させ、規模の拡大をはかる。機能面だけでなく、「ITCの数を現在の87人から113人に拡大」し、従来よりも密接な関係構築をはかる。また、販売チャネルはカーナビ、モバイルでの取扱いのほか、「PC、モバイルに次ぐ新チャネル」(岡武社長)としてコールセンターを拡大。エクスペディアが2000名のコールセンターのスタッフを有し、レジャー市場の約6割がコールセンター予約であることを例にあげ、団体手配やコンシェルジュ機能を持たせることで、同社の総流通のうちコールセンター経由の予約を10%のシェアとしたい考えだ。


▽3月にタイの現地法人オープン、韓国発中国、中国国内なども意欲

 海外では3月、タイに現地法人をオープンする予定。タイのホテル担当者の異動が多いことから、現地にITCを派遣し、客室の確保をめざす。現在、同社は韓国、中国、グアムに現地法人を展開するが、このうち、韓国では日本/韓国間に留まらず、韓国発中国行きなどクロスボーダーの需要取り込みもはかる。また、中国では海外旅行が完全自由化されていないことから、特に中国国内旅行を注視。このほか、東南アジアを中心にフィリピンなど日本人が多く行くデスティネーションでの展開も予定しているという。