KNT太田社長、事業再編で「総合旅行業の曲がり角」乗り切る

  • 2008年2月6日
 近畿日本ツーリスト(KNT)代表取締役社長の太田孝氏は2月5日、「2008年度海外旅行方針発表」の席で、「今は総合旅行業の曲がり角。世の中の変化とともに専門性や企画力が問われる時代になってきた。存在意義が問われている」と語った上で、このほどの事業再編により専門性を高め、「この曲がり角をしっかりとハンドルを切って進む」と決意を表した。

 太田氏は、日経平均株価が1月に1万3000円を割り込んだことに言及、「2008年は波乱の幕開けとなった」とし、旅行業界も「市場環境は逆風」と語る。ただ、07年のKNTに関しては「国内は好調。海外は冬の終わりを迎えつつある」と語り、「巻き返しに向けて蒔いた種が着実に芽吹き始めた」という。これは例えば、韓国観光公社(KTO)と業務提携して展開した送客キャンペーンで、目標とした15万人を達成しただけでなく、平均単価を高いレベルで維持して成功したことに表れている。例として団体旅行では、送客数が対前年比83.8%増の3万7801人、単価は11万5000円を確保した。こういった取り組みが、「一過性ではなく、営業力などKNTのDNAの活性化になる」と語る。

 KNT常務取締役旅行事業創発本部長の越智良典氏も、「リテール部門をKNTツーリストとしたことで、店舗展開の柔軟さとスピードがかなり向上している」と効果を語る。スピードアップについては、東日本海外仕入ホリデイ事業部長の田口久喜氏も、「2月中にはデジタルパンフレットのシステムを導入し、今日企画として話したものが明後日にはパンフレット上に商品として掲載できる体制になる」と紹介。「仕入と企画が一緒に働くことで、知恵が1+1=2ではなく、3になっている」とも語った。

 事業再編の将来的な効果について太田氏は、「ホリデイが勝ち残り、団体営業のDNAが息づいていき、ECCはますます活発に、訪日旅行がさらに伸びるとともに、KNTが地域振興に深く関わる」と描く。すでに3月の定時株主総会後に決定している社長人事については、「3代続けてKNT出身者が就任してきたが、事業再編の道筋が付いた。まったく違う視点で見てもらう機会」と言及した。