ANAグ中期戦略、国際旅客はバランスよく路線拡大−2011年に営利1200億円

  • 2008年2月1日
 ANAグループの次期中期経営戦略(2008年度〜2011年度)は、2010年以降に予想される羽田と成田の両空港の拡張を視野に、「アジアNo.1」を目指し、「イノベーション」と「グローバリゼーション」を主要テーマに設定した。「イノベーション」では、サービスや業務の進め方、仕組みを見直し、人的生産性の向上やアウトソーシング、IT技術を活用し、現在の人員規模で事業の拡大をめざす。また、「グローバリゼーション」では、2空港の拡張や航空の自由化を受け、アジアを中心に事業を拡大する。期間中は、08年度と09年度は先行投資期間とし、羽田・成田空港の増枠に向けた準備期間に設定。10年度と11年度を、増枠を最大限活用して大きく成長する飛躍期間とした。

 目標数値としては2011年度に、連結営業利益1200億円以上と、連結売上高営業利益率7%以上を目指す。事業別では、対07年比で、グループの総人員を現在の3万人から3%増程度に抑える一方、国際線の有効座席キロ(ASK)を17%増、収益を22%増の約3800億円、国内線のASKを1%増、収益を4%増の約7800億円、貨物便の有効トンキロを302%増、収益を110%増の1800億円とする。人員1人当たりの生産性は20%の向上が必要となる。

 国際線旅客事業では、事業規模の拡大による収益増大をめざし、欧米線、中国線、アジア線ともにバランスよく拡大する。成田を中心に欧米線のASKを26%増加するとともに、中国線のデイリー化を中心に、中国・アジア線のASKを11%増加する。また、ボーイングB747型機を退役させ、同B777型機とB787型機により、長距離国際線の需給バランスを調整、燃油費高騰に対応する。ANAグループの全路線を100%とした場合、太平洋路線(TC1)は08年度初めの27.4%から2011年度末には28.2%に、ヨーロッパ・中東路線(TC2)は21.9%から25.1%に、中国路線は27.3%から22.8%に、アジア・リゾート路線は23.4%から23.9%とする。

 国内線は、羽田路線の増便に合わせ、イレギュラーに強い機材繰りにより、効率性と品質を同時に向上する。また、基幹空港での接続利便性を高め、乗継型運賃を設定することで、国内線ネットワークを充実する。これらの戦略により、期間中の平均搭乗率を、現行の65%から70%程度に上昇する。

 なお、全日空(NH)代表取締役社長の山元峯生氏は、肺炎のため入院中で、会見には出席しなかった。中期経営戦略の策定も終えており、2月末まで休養に入るという。職務代行者は立てない。

▽経営目標(前提:シンガポールケロシン1バレルあたり価格、08年度/110米ドル、09−11年度/103米ドル)
<年度/連結営業収入/連結営業利益/連結経常利益/連結当期利益/設備投資/国際線ASK伸び率(対07年比)>
2008年度/1兆5100億円/800億円/520億円/270億円/2420億円/1%増
2009年度/1兆5700億円/800億円/470億円/260億円/2530億円/7%増
2010年度/1兆6600億円/900億円/520億円/270億円/2330億円/13%増
2011年度/1兆7200億円/1200億円/830億円/480億円/1960億円/17%増