KNT、次期社長人事を内定−吉川氏「現在の改革を推進、新しい視点も」

  • 2008年1月31日
 近畿日本ツーリスト(KNT)は1月30日に開催した取締役会において、次期代表取締役社長に近畿日本鉄道取締役副社長の吉川勝久氏の就任を内定した。就任は3月下旬の定時株主総会終了後となる。同日会見した吉川氏は「KNTは近鉄グループの中でも最重要会社のひとつ。近鉄グループの力を注入するなど、太田社長が道筋を立てた現在の改革を推進させていきたい」と抱負を述べた。また、年初にKNTの体制変更や、リテールをKNTツーリストに一元化にした再編に関して、「歴史的な構造改革。機能分社(KNTツーリスト)も今までできなかったことをしており、これから成果を挙げること」など評価をしつつ、「これまでの経験に基づく新しい視点を入れたい」とも述べる。この視点は、現場と意見交換をした上での取り組みとして、早くも2月1日に全社会議へ出席し、2日から海外拠点を訪問し、社員と意見交換をするなど、中期経営計画の策定や今後の方向性の舵取りに活かす考え。

 また、吉川氏は会見で「近鉄グループの力を注入」について問われ、明言は避けたものの資本注入などの可能性も否定はしなかったが、「人、モノ、金をグループで持っており、KNTの経営に活かしていく」方法を検討する。旅行業界については、鉄道、航空などサプライヤー側が消費者に直接販売ができる環境の中、「旅行会社は付加価値をつけなければ売れない」との考えを示し、KNTを外から見た際に感じた近鉄との連携をはじめ、KNTが現在進めているプラットフォーム戦略から柔軟な発想、取り組みを見いだしていく。ただし、こうした対応や方向性は、現場との意見交換を積み重ね、内部で実際にできるか否かを判断していくということも強調。売上高、営業利益など経営指標についても言及は避けつつ、方向性として「頭、からだ、心を使い、特に心を使ってお客様に対応することが、KNTの目指す元気で強い会社になる」とし、「社員が明るく前に行こうという気持ちが大切。ひとつひとつの結果を出していかないといけない」と語り、全社を引っ張っていく考えを示した。

 なお、代表取締役の異動にともなう人事は下記のとおり。近鉄グループの総力を示すことからも、KNT取締役に就任している近畿日本鉄道代表取締役会長の山口昌紀氏が代表権のない取締役会長に就任、吉川氏はKNTツーリストの取締役会長に就任する。


▽KNT代表取締役人事(氏名/3月末定時株主総会後/現職)
吉川勝久氏/代表取締役社長/近畿日本鉄道取締役副社長
太田孝氏/取締役相談役/代表取締役社長
山口昌紀氏/取締役会長/取締役


吉川勝久氏 略歴

生年月日 昭和20年8月12日
最終学歴 昭和43年3月 京都大学経済学部卒

昭和43年4月 近畿日本鉄道(株)入社
平成13年6月 取締役鉄道事業本部業務局長担当
平成15年6月 常務取締役鉄道事業本部営業統括部長
平成16年6月 常務取締役経営企画部担当、鉄道事業本部営業統括部長
平成17年6月 専務取締役経営企画部、伊勢志摩事業推進部および名古屋支社担当、鉄道事業本部営業統括部長
平成18年3月 専務取締役経営企画部、伊勢志摩事業推進部および名古屋支社担当
平成18年6月 専務取締役経営企画部および名古屋支社担当
平成19年6月 取締役副社長経営企画部担当、グループ事業本部長