JTB佐々木社長、3つの戦略で近未来の存続かけた戦いに生き残る−経営講演会

また、近未来の試練については、5年から10年で旅行業として存続をかけた膨大なシステム投資を想定。インターネットが普及した情報化社会の中、個人の多くの要求に的確に答えられるシステム構築が必要と強調し、実現をめざした絶え間ない投資が必要という。また、航空会社がレジャー市場から撤退する中で、旅行会社がリスクをとり、大量の商品を投入するため、例えば海外旅行では3000億円の売上を継続していくために、1000億円超の仕入れの資金が必要と言及し、システム、仕入れでの資金の必要性が分かれ目になることから「既存のビジネスの効率化、グループ全体のビジネスの多様化を図っている」と語った。
その状況下で、JTBとしては100億円を投資しながら、200億円の連結経常利益を残し、これを無借金で実現していく基盤を築くと語り、現在は準備期間として分社化をした06年度、07年度は80億円の投資をしながら200億円の経常利益を確保し、順調に推移しているという。
▽未来に向けた経営のキーワード
こうしたグループ経営において、キーワードに佐々木氏は「変化と多様性」をあげる。激しく変化する時代に対し、「変化より早く変化を遂げればよい」として、スピードを高めることを強調。多様性には、ソビエト連邦でペレストロイカを進めたゴルバチョフの伝記を引用し、「社会主義の統制社会から、自由闊達な競争をさせることで幅が広がる」とし、「自由」で対応していくという。「変化には変化で、変化するスピードにはそれを越すスピードで、多様性には自由で対応する」とし、「従業員の呪縛を解き放し、既存の成功体験に戻ることなく、(経営者)みずからの指揮能力が問われる時代」と語った。
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