ANAグループ、08年度路線計画を発表、首都圏再拡張と中国重視を鮮明に

  • 2008年1月24日
 ANAグループは1月23日、2008年度の航空輸送事業計画を発表した。「2008〜2011年度中期経営戦略」の初年度として経営ビジョンであるアジアでナンバーワンの達成に向け、旅客のニーズを敏感に捉えた「価値創造経営」を推進するとともに、首都圏再拡張に向けた体制構築をはかる。

 国際線事業は中国方面への取り組みが目立つ。アジア・ゲートウェイ構想にともない、羽田発の定期チャーター便で4月から香港便を毎日運航、7月ごろには北京・南苑便の運航を計画している。また、関西線は3月30日から、関西/青島線を週4便、6月1日に大連線を週3便増便し、それぞれデイリー運航とする。杭州線は6月1日から、最新鋭のボーイング737-700型機を導入する。中国重視の姿勢について全日空(NH)では「発着枠の最大限の活用を考えると単価が高く、需要の強い方面を重視」(広報室)する姿勢を貫いたと説明する。07年下期は中国への渡航需要が減少したが、「ビジネス拠点が多く、今年は北京五輪もある。また、中国は人口が多く、市場も大きい」として、日本発だけでなく、中国発の需要への期待を示した。
 
 また、首都圏の発着枠再拡張が予定される2010年以降の競争力の確立をめざし、「ネットワークキャリア型」ビジネスモデルの基盤構築に乗り出す。コードシェア、およびダイヤ変更を主体とするもので、例えば4月1日から台北線を「ANA」便名とし、ユナイテッド航空(UA)と共同運航する。旅客利便を保ちつつ、効率化をはかる体制を徹底するねらいから、他社運航便とのコードシェア推進、場合によっては自主運航を運休する可能性も示唆している。また、地方発国内線など利用しやすい接続時間帯の向上をはかり、これら施策により、08年度の国際線旅客便の運航回数は前年比6.2%増、座席帰路は1.4%増とする。


▽国内線は2路線開設、三宅線を再開、千歳は5路線運休に

 国内線事業では定刻運航やイレギュラーに強い運航、新幹線との競争環境を勘案し、主基地・目的地間の単純往復化、基地毎の主要機種設定などを考慮し、 高い定時性のオペレーション構築と利便性の向上をめざす。09年3月の富士山静岡空港開港に伴い、静岡と札幌間、沖縄間をそれぞれ1日1便で就航。伊丹/福岡線、 関西/松山線、高知線、中部/秋田線、沖縄/高松線で増便するほか、噴火で運休していた羽田/三宅島を再開する。一方、新千歳/松山線、中標津線、鹿児島線、高松線、庄内線と福岡/富山線、仙台線を運休するほか、伊丹/長崎線、高知線、新千歳/福岡線、福岡/新潟線、丘珠/釧路線、函館線を減便する。


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