記事アクセスランキング 「小さな変化は大きな変化の予兆」(5月14日〜19日分)

  • 2007年5月19日
[総評] 今週を端的にまとめると、「大きな変化を予兆する小さな変化」が多かった一週間と言えるでしょう。上位10記事のランキングは、旅行会社と航空会社がそれぞれ5本ずつとなりました。

 「小さな変化」で見ていくと、1位の日本航空の燃油サーチャージを3ヶ月固定化は、消費者にとって、わかりやすい料金体系となります。頻繁に変わっていた運賃で、旅行需要が左右された側面もありますが、3ヶ月固定により、レジャー旅行は計画がしやすくなります。旅行会社も予約、発券時の確認作業の手間が削減されることでしょう。

 クラブツーリズムは新たなコンセプトの店舗展開を加速しています。顧客層の住む地域に根ざしたビジネス展開が、旅行をドメインとしながらどのような分野に裾野を広げながら、発展していくかは、大きな話題を集めそうです。

 日通旅行などを含む日通の旅行事業の決算は芳しくなかったよう。ただ、同社が強みとする法人ビジネス、あるいは旅のソムリエでのレジャー旅行を柱とした事業でこれまで蓄積したノウハウを持って攻勢に出てくるか、現在の過渡期から今後に向けて注目されます。

 団塊世代の大量退職の時代を迎え、以前からシニア層に強いニッコウトラベルの取り組みも注目されるところ。高齢化社会が一段と進む中で、同社が旅行需要を創出する方向性はどこを見ているのか。リピーター層で旅行をあきらめていた人に旅行をしやすい環境を提供するのか、あるいは新たなシニア層を取り込んでいくのか、そのいずれにも対応していくのか、今年の動きを見守りたいところです。

 2007年末をもって「eチケット」へ全面移行が控える中、コンチネンタル航空が日本でほぼ100%のeチケット化を宣言しました。1社だけと「小さな変化」ですが、インターラインを含めたコンチネンタル航空の発券がほとんどeチケットになったということは大きな変化につながることでしょう。日本のeチケット率は現在、70%弱。今後、中国系航空会社のeチケット化が発表され、インターラインが進むと、勢いよく90%台にまで高まり、いよいよ「紙」から「電子」の時代が到来します。

 中間報告と比べると「小さな変化」に留まったアジア・ゲートウェイ戦略の航空関連の内容は、今後の「大きな変化」を予兆させるところです。ただし、地方空港の自由化、関空、中部の自由化など「自由」の響きは好いものの、中身はこの方向性出良いのか。そして、オリンピック期間中の羽田/北京間のチャーター便の就航などの施策を盛り込んだものの、提言された文言の政策実行力はどの程度あり、旗振りだけに終わらないか。今回の提言は「変化」を感じるものですが、旅行する人たちに本当に望まれる利便向上への変化が実現されなければ、意味がありません。航空業界だけでなく、旅行業界の姿は日本へのインバウンドとアウトバウンドを一体として描いており、観光立国推進基本計画も大いなる役割を果たしていくことでしょう。(鈴木)


▽トラベルビジョン・記事ランキング(5月第3週:5月12日〜5月18日午後4時)

第1位
◆JALグループ、7月から3ヶ月間の燃油サーチャージを固定化−わかりやすさで(05.16)

第2位
◆クラブツーリズム、カフェ出店加速で3年後に首都圏10店舗−18日に練馬店(05.14)

第3位
◆シンガポール航空、A380の日本就航は早くて来夏前か−1号機は10月予定(05.16)

第4位
◆アジア・ゲートウェイ構想、羽田の戦略的利用を提言−現実的な政策盛り込む(05.17)

第5位
◆スターアライアンス、設立10周年を迎える−新たなイメージを採用(05.15)

第6位
◆日本通運、旅行事業はホールセール撤退で減収、来期も減収見込み(05.14)

第7位
◆旅行業の4月倒産件数、7件で負債総額は6億300万円(05.15)

第8位
◆ニッコウトラベル、河クルーズのキャンセル、今期へ需要シフト発生で減益(05.16)

第9位
◆コンチネンタル航空、日本のeチケ発券率ほぼ100%に−発券カウンター閉鎖へ(05.14)

第10位
◆GTO、IATA代理店認可−航空座席も直取引でダイナミックパッケージを強化(05.15)