阪急・小島社長、将来の統合視野も当面は相互理解を−06年度は好決算

  • 2007年3月30日
 阪急交通社代表取締役社長の小島弘氏は今回の阪急・阪神ホールディングスの経営統合に伴う旅行、国際輸送事業での統合について、「ホールディングカンパニーの統合に背中を押されたもの」としたものの、「10年、20年先の発展、成長を目指し、創業以来の決断を下した」と語り、既に発表している中間持株会社において、両社の相互理解を深めていく考えを示した。

 小島氏はさらに、阪急創立100周年の今年にこうした統合が実現したことを良い契機として、「旅行、貨物と合従連衡、アライアンスの動きが多い。将来の再編に柔軟に備えていきたい」と語った。小島社長は中間持株会社の下で「旅行、国際貨物で事業統合をするのが自然のかたち」だが、その一方で「企業風土、人事制度、給与体系、社内システムなどそれぞれにあり、強引に(統合を)進めるものではない」とも言明。旅行分野では仕入れの共有、トラピックス、フレンドツアーの相互販売などを進めており、出来ることには早期の取り組み、全体としては緩やかに相互理解を深めていくことになる。


▽2009年に営業総利益22億6900万円、11年には24億7700万円

 また、阪急交通社として第7次中期経営計画を策定。これは2007年度から09年度、および2010年度から12年度の方針で、目標に「お客様支持率NO1のたびのクリエーター」を目指す。この実現に向け、価格競争から価値競争への転換を図るとしており、同社では「価値」を安心、良い口こみ情報、価格満足、高催行、動機付けの5つを設定。阪急交通社は2003年から04年にかけ、連続バス事故の発生、個人情報漏洩などがあったものの、これらを契機として品質ガイドラインの遵守、情報セキュリティの強化など学ぶべき点も多かったという。

 戦略課題としては、お客様満足度の向上、企画旅行の強化、安定的利益確保の基盤整備、統合効果の具現化の4点。このうち、企画旅行ではブランドマネジメントの強化、海外・国内旅行の販路拡充、法人旅行の拡販に取り組む。このうち主力となるトラピックス、クリスタルハート、ロイヤルコレクション、e-veryの4ブランドをメディア営業部に統合、東京で法人営業部を新たに立ち上げ、主力の企画商品とそれ以外の旅行手配とを明確にする。また、仕入れ部門の地域別に2方向で仕入れをするなどの実態があったが、これを一元化することで強化を図り、阪神との統合効果も視野に入れた対応を進める。


▽2006年度決算見込みは取扱高微増も営利、経常と大幅増

 阪急交通社は2006年度決算見込みを公表、このうち旅行事業取扱高は前年比0.1%増の3772億円、営業収益11.9%増の269億4000万円、営業利益369.6%増の14億3700万円、経常利益111.3%増の15億8900万円となった。海外旅行の取扱人員は減少したことから、取扱額は微増に留まったが、販売単価の上昇、宣伝広告費を抑えながら効果的に活用したことが営業利益の大幅増につながったとしている。

 海外旅行は営業収益14.8%増の117億円で中国、欧州方面が好調。中国は前年の反動増で取扱人数は15万人と大幅な伸びを記録しており、今年度については20万人を目標とする。また、国内旅行は8.2%増の105億円となっており、特に中・四国支店が前年実績3億円から11億円と大幅な伸びを記録しており、東名阪で実施している効果的なメディアへの露出の成果と見ている。