EU一般裁、BookingのEtraveli買収禁止を支持 航空券を起点とする「Connected Trip」の競争影響を重視

  • 2026年9月10日
EU

 欧州連合(EU)の一般裁判所は9月9日、Booking Holdingsによるオンライン航空券予約大手Etraveli Groupの買収を禁止した欧州委員会の決定を支持し、Booking側の訴えを退けた。裁判所は、買収によってBookingのホテルOTA市場における既存の支配的地位がさらに強化され、競争を有意に阻害する可能性があるとの欧州委員会の判断を認めた。

 BookingはEtraveliを傘下に収めることで、自社プラットフォームの航空券販売を強化する計画だった。背景にあるのが、航空、宿泊など複数の旅行サービスを一体的に提供する同社の「Connected Trip」戦略だ。一般裁判所は、航空券が新規顧客の獲得と顧客の囲い込みに重要な役割を果たし、航空券購入者へのホテルのクロスセルを通じてホテル事業を拡大できる点を重視した。

 今回の判断で注目されるのは、買収後に想定されるホテルOTA市場でのシェア上昇幅そのものは小さいと認定された点だ。裁判所は、欧州委員会による市場シェア増加幅の計算には複数の誤りがあり、実際の上昇幅は「数十分の1ポイント」にとどまる可能性があると指摘した。また、買収後のBookingの成長によってホテルが他OTAとの取引を打ち切ったり、Bookingがホテルから徴収するコミッションを引き上げたりすることまでは立証されていないとした。

 それでも裁判所は、ホテルOTA市場には強いネットワーク効果が存在し、市場首位と競合各社との間に大きな差があることから、わずかなシェア上昇でも既存の優位性を強化し得ると判断した。さらに、Bookingが現在十分に支配していない数少ないホテル顧客獲得チャネルの一つである「航空」を取り込むことで、競合OTAが再現しにくい旅行エコシステムを構築する可能性があるとした。

 一般裁判所は、こうした買収を「リバース・レバレッジ」の観点から評価することも認めた。すなわち、航空OTA市場での地位を利用して、すでに支配的なホテルOTA市場での地位をさらに強化するという考え方だ。2008年に策定された非水平型企業結合に関するガイドラインが、デジタル市場で生じるこうした新たな競争上の懸念を排除するものではないとの判断を示した。

 Bookingは判決に失望を表明し、欧州司法裁判所への上訴を検討していると報じられている。一般裁判所の判決については、通知から2カ月と10日以内に上訴することができる。