訪日客は上半期2.0%減、中国市場の落ち込み響く 消費額は過去最高

 観光庁の村田長官は7月15日の定例会見で、2026年6月の訪日外国人旅行者数が前年同月比6.8%減の314万8600人となった一方、4~6月期の訪日外国人旅行消費額は第2四半期として過去最高の2兆5096億円に達したと発表した。中国市場の大幅な減少が全体を押し下げたものの、韓国、台湾、米国、インドなど15市場が6月として過去最高となり、市場全体について「堅調に推移している」との認識を示した。

 訪日外国人旅行者数の1~6月の累計は2108万4800人となり、前年同期比2.0%減であったが、前年に続いて上半期で2000万人を超えた。6月の国・地域別では韓国が7.8%増の78万7100人、台湾が14.6%増の67万400人、米国が2.7%増の35万4500人となった一方、中国は57.3%減の34万700人に落ち込んだ。

2026年訪日外国人数・出国日本人数(前年比)
訪日外国人数出国日本人数
2025年2026年前年比2025年2026年前年比
1月3,781,6293,597,88195.1%912,2981,072,602117.6%
2月3,258,4913,466,848106.4%1,181,0621,093,25092.6%
3月3,497,7553,619,159103.5%1,423,4491,518,999106.7%
4月3,909,1283,692,36494.5%961,3861,042,087108.4%
5月3,693,5873,559,90096.4%1,076,7561,127,432104.7%
6月3,377,9853,148,60093.2%1,054,0451,090,200103.4%
7月3,437,1181,205,435
8月3,428,4061,648,279
9月3,267,2281,394,525
10月3,896,5241,243,575
11月3,518,1951,330,014
12月3,617,7911,300,741
1~6月21,518,57521,084,80098.0%6,608,9966,944,600105.1%

出典:日本政府観光局(JNTO)

 6月として過去最高を記録したのは、韓国、台湾、ベトナム、インド、豪州、米国、カナダ、英国など15市場。上半期では東南アジア市場が前年同期比8.3%増、欧米豪市場が6.7%増となった。村田長官は「多様な国や地域から多くの方に日本にお越しいただいており、市場の多様化が進んでいる」と述べ、「インバウンド市場全体としては堅調に推移している」との認識を示した。

 中国市場については、訪日客数と消費額の双方で上位を占めることから、「インバウンド政策上、重要な市場の一つ」と位置付けた。今後も中国からの旅行者の動向を注視し、JNTOを通じたSNSでの情報発信などを進める一方、市場全体では特定市場への依存を抑え、多様な国・地域からの誘客を強化する考えだ。

 4~6月期の訪日外国人旅行消費額は前年同期比0.2%増の2兆5096億円で、第2四半期として過去最高となった。国籍・地域別では米国が3848億円で首位となり、台湾が3639億円、中国が2592億円、韓国が2589億円で続いた。前年同期に首位だった中国に代わって米国が最大市場となり、消費面でも市場構成の変化が表れた。

 訪日外国人1人当たりの旅行支出は前年同期比3.3%増の24万4457円となり、四半期として過去最高を記録した。1~6月の旅行消費額も前年同期比1.3%増の約4.8兆円と過去最高になった。村田長官は「インバウンドは人数だけで見るのではなく、消費額も含めて日本経済にどのような良い影響があるかという観点で考えることが重要」と強調し、「消費単価の高い旅行者の誘致も重要な課題」と述べた。

インド市場、初訪日層の開拓と受け入れ環境整備へ

 インド市場については、6月として過去最高となり、上半期累計も過去最高水準で推移した。村田長官は、訪日経験者がまだ少ない一方、人口規模や経済成長を踏まえ、「今後、大きな潜在力を有する重要な市場」と評価した。初訪日層の拡大と日本の旅行先としてのブランド確立を目指し、訪日プロモーションに加え、食習慣や文化的慣習に対応した受け入れ環境整備を進める方針だ。

観光庁ら、自治体に民泊の「ゼロ日規制」等を通知

 観光庁は7月15日、厚生労働省、国土交通省と連名で、地方公共団体に対し「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について」と題する技術的助言を発出した。住宅地や教育施設周辺の生活・教育環境、定住人口や地域コミュニティーへの影響が懸念される場合、自治体の条例により民泊の営業日数をゼロ日にする「ゼロ日規制」や、営業可能日の限定などを行えることを明確化した。

 通知では、すでに多数の民泊が立地し、静穏な居住環境が著しく損なわれるなど強い必要性があり、ほかに適切な対応策がない場合、猶予期間を設けた上で既存の届出住宅を規制することも可能とした。また、事業者による迷惑行為への対応を促すため、騒音計や出入口カメラなどICTを用いた管理を、地域の実情に応じて条例で義務付けられるとの考えも示した。

 村田長官は会見で、今回の通知について「自治体がそれぞれの地域の実情に合った形の規制を進めていただきたいという趣旨」と説明し、「一律に規制をしてくださいというものではない」と強調した。全国一律に宿泊供給を抑えるものではなく、住環境などへの影響が懸念される地域で、自治体が条例を検討する際の判断材料とする位置付けである。