ツーリズムEXPO2026、開催概要発表 出展好調の裏で中東情勢の影響も
(左から)日本観光振興協会の町田氏、ツーリズムEXPOジャパン推進室の早坂氏
日本旅行業協会(JATA)は4月2日、ツーリズムEXPOジャパン(TEJ)2026の開催概要と第10回ジャパン・ツーリズム・アワードの詳細を発表した。出展申込は好調に推移する一方、中東情勢の影響により一部国の出展が停滞するなど、国際観光市場の不安定さがTEJにも影響を及ぼしている。展示内容では観光DXや高付加価値化、多様化対応を打ち出し、業界の構造変化を色濃く反映する構成となる。
ツーリズムEXPOジャパン2026は9月24日から27日まで東京ビッグサイトで開催する。テーマは「進化する旅のカタチ」。来場者18万人、出展1200小間、商談6200件を目標とし、業界日2日間で7万2000人、一般日で10万8000人の来場を見込む。
会場は展示ホール改修の影響で使用面積が従来の約8割に制限される。このため出展小間数も抑制しているが、国内およびトラベルソリューション分野では既に申込が9割に達しており、供給制約下でも出展需要が高水準で推移している。なお、直近の来場者数は2024年東京開催では18万2934人、2025年愛知開催は12万7677人を記録している。
一方で、海外出展には地政学的リスクが影を落としている。ツーリズムEXPOジャパン推進室の早坂学室長は中東情勢について、「例年出展いただいているサウジアラビア、エジプト、ヨルダンなどは現時点で申し込みがない」と説明。「外務省の渡航危険レベル3以上の場合は、出展をお断りする」との規定もあるようで、同国らはこの規定の影響も受けているとのこと。
加えて中国も出展規模が縮小するなど、一部市場で減速が見られる。一方でポルトガルが例年の約1.5倍に拡大、スウェーデンが2019年以来の復帰を予定するなど、欧州では回復・拡大の動きも見られる。
展示内容では「進化する旅のカタチ」を具体化する施策が打ち出された。従来の特別コーナーや特集エリアは、「TEJコレクション~選べる旅、ひろがる世界~」として刷新。観光DXの推進、高付加価値化、多様化する旅の提案の3点を重点領域とし、テーマにウェルネスツーリズムやガストロノミーツーリズムを追加することで、体験価値の高い旅行商品の提案を強化する。また、同時開催するトラベルソリューション展では、音声ガイドや没入型映像、LED演出など新技術の出展も見込む。
商談機能についても拡充を図る。バイヤー数目標は600人規模に拡大し、訪日だけでなく第三国間旅行も含めたグローバル商談を推進する方針だ。
また、業界日には観光を学ぶ高校生を新たに招待する。従来の大学生に加え、若年層の早期接点を創出することで、観光人材の裾野拡大を狙う。学生からは「現場を見ることで観光地の取り組みが理解できる」との声があるとし、教育的価値の高さも強調された。
ジャパン・ツーリズム・アワード募集開始
同時に発表された第10回ジャパン・ツーリズム・アワードでは、スタートアップ特別賞の新設など制度の見直しが行われた。日本観光振興協会の町田光朗担当部長は、新設の意図について「実績が少なくても将来性のある取り組みを後押しする仕組みが必要だった」と説明した。
また、持続可能性の評価基準についても「持続可能な観光とは何かという議論があり、自然環境への配慮や地域社会との共生を明確にした」と述べ、審査軸の再定義に踏み込んだ背景を示した。
応募対象は旅行会社や自治体、観光関連事業者に加え、ICTや食品、流通など幅広い分野に対応しており、観光産業の裾野拡大も意識した設計となっている。受賞後は認知向上や事業連携の拡大といった効果も期待され、実際に過去受賞案件では横展開や事業拡大につながった事例が報告されているという。
なお、応募受付は2026年4月1日から5月29日まで。持続可能な観光地域づくりや高付加価値化、アウトバウンド、インバウンド対応など多様な取り組みを募集する。表彰式は9月24日、ツーリズムEXPOジャパン2026の会場内で実施予定で、優れた事例の横展開を通じた観光産業全体の底上げが期待される。

