万博効果、近畿圏超え中四国まで拡大 位置情報分析で広域観光の可能性示唆

 リクルートのじゃらんリサーチセンター(JRC)は、大阪・関西万博来場者の位置情報データを分析し、来場者の広域周遊と宿泊行動の変化を明らかにした。全国的に宿泊旅行者数が減少するなかでも、万博来場者は近畿圏を起点に周辺地域へ訪問・宿泊を拡大しており、大規模イベントが広域観光を促進する効果が示された。

 本調査は、2025年の大阪・関西万博来場者の行動を位置情報データから分析したもので、来場者構造と宿泊行動の双方から観光波及効果を検証したもの。延べ来場者では近畿圏が7割以上を占める一方、ユニーク来場者では近畿圏の比率は約5割にとどまり、関東や中部など遠方からの来場も一定規模で確認された。特に遠方来場者は単発訪問が中心であり、近隣圏のリピーター層とは異なる構造を形成している。

 また、万博IDを伴わないチケット来場者では近畿比率が3割台まで低下し、関東・中部をはじめとした広域からの参加が顕著となった。

 宿泊行動においては、全国的に日本人の宿泊旅行者数が前年を下回るなかでも、万博来場者層では宿泊を伴う旅行が活発化した。特に2025年は、前年に宿泊していなかった地域で新たに宿泊する動きが広がり、近畿圏を中心に中四国や東海エリアまで新規宿泊が離反(2024年に宿泊したが、2025年に宿泊しなかった来訪者)を上回る地域が拡大した。大阪府をはじめ奈良、兵庫、滋賀などで顕著に需要を取り込み、開催地および周辺地域の宿泊需要創出に寄与した。

 さらに、この傾向は万博閉幕後も一定程度継続しており、イベントを契機とした観光流動が一過性にとどまらない可能性も。一方で、一部地域では宿泊需要の減少も見られ、従来の旅行先から万博関連需要へのシフトが生じた可能性も指摘されている。

 地域別の事例では、徳島県が交通施策と連動した誘客で訪問者増加と滞在時間の延伸を実現したほか、滋賀県では万博会場での情報発信を通じて甲賀市などへの訪問増加が確認された。いずれも万博を起点とした周遊促進が具体的な来訪増につながったケースであり、広域連携施策の有効性を示す結果となった。

 今回の分析から、大規模国際イベントは開催地単体にとどまらず、周辺地域や遠隔地への観光波及を生み出す装置となり得ることが明らかとなった。JRCは、今後の大規模国際イベントにおいて、近隣圏のリピーター獲得と遠方からの初回訪問を契機とした周遊促進を両立する戦略設計が重要となると指摘している。