費用不安時代の海外旅行、鍵は「ロジタビ」 スカイスキャナーが示す新潮流
スカイスキャナージャパン岡田健太郎氏
スカイスキャナーは15日、HISとともにメディア向けラウンドテーブルを開催し、スカイスキャナージャパンのトラベルエキスパート岡田健太郎氏、HIS海外個人旅行営業本部 海外旅行事業部FITグループグループリーダーの向井喜代孝氏、航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏が登壇、2026年に向けた日本人旅行者の意識変化と、データを起点とした旅行流通の進化について議論した。円安や物価高が続くなか、旅行者は感覚や衝動ではなく、数字に基づいて賢く旅を選ぶ「ロジタビ」へとシフトしており、商品造成や販売手法の転換が求められていることが浮き彫りになった。
スカイスキャナーが実施した「2026年の海外旅行意識調査」では、旅行予約に心理的な負担を感じる人が66%に達し、その理由の7割超が費用への懸念だった。一方で、海外旅行のためなら日常の出費を抑えることを厭わない層が8割に上り、旅行は衝動ではなく計画的に選ばれる時代に入っていることが明らかになった。宿泊施設のグレードを調整するなど、体験の核を守りつつコストを最適化する姿勢も特徴的だ。
こうした行動変化について、スカイスキャナーは「ロジタビ」と名付け、感覚ではなくデータに基づいてコストパフォーマンスを最大化する旅のスタイルが定着しつつあると分析する。実際、旅行計画において約2人に1人が「最も安い旅行先を知ること」で予約意欲が高まると回答しており、価格の可視化や比較が意思決定の起点となっている。
この流れを受け、同社は2026年の旅行計画を支援する新機能として「最もおトクな旅行先ナビ」を発表した。月ごとの平均価格データをもとに、コストパフォーマンスの高い旅行先をランキング形式で提示するもので、行き先が未定の段階から合理的に選択肢を広げる狙いだ。膨大な検索データを分析し、旅行者の費用不安を軽減する役割を担う。
一方、HISはスカイスキャナーとの協業を通じて、検索データを活用した販売戦略を強化している。2013年から連携を続け、2024年には日本の旅行会社として初めて検索連動型広告を本格導入した。価格訴求に加え、日本語24時間サポートといった安心感を検索段階で伝えることで、予約数は着実に伸長しているという。さらに、月次での定例ミーティングを通じて、スカイスキャナーの検索動向と自社販売データを突き合わせ、市場とのズレを迅速に修正する体制を構築している。
このデータ活用は、新たな需要の発見にもつながっている。主要都市だけでなく、これまで注力してこなかった地域への検索増加を捉え、次の成長領域として商品化を検討する動きも進む。単なる送客チャネルを超え、流通全体を最適化するパートナーへと関係性が進化している点が印象的だ。
続いて行われたパネルディスカッションでは、2025年の振り返りとして、海外旅行需要の本格回復と予約の早期化が示された。航空座席の供給制約や価格上昇を背景に、早期予約で費用を抑えようとする動きが顕著になっている。また、スポーツ観戦や文化体験など、明確な目的を持った「体験重視型」の旅が拡大している点も特徴として挙げられた。
2026年に向けては、こうした傾向がさらに強まる見通しだ。意識調査から、旅行者はこだわる部分には投資し、移動や滞在費は賢く抑えるメリハリのある消費を志向している。スカイスキャナーはAIを活用した最適提案の高度化を進めつつ、公平で透明性の高い比較を重視する姿勢を維持する方針を示した。これに対し、HISでもオンラインと実店舗を融合させ、データを起点に一人ひとりに最適化した提案を行う体制づくりを進めていると明かした。費用不安が常態化する市場環境において、検索データや実需データをどう活用し、納得感ある選択肢を提示できるかが今後の海外旅行販売のカギとなりそうだ。




