読者アンケート2026
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藤田観光・山下信典社長に聞く、70周年の先に描く成長戦略と2026年の展望

 2025年11月に創業70周年を迎えた藤田観光。コロナ禍からの回復を経て、同社は中期経営計画2028の後半戦に差し掛かり、次の成長ステージを見据えた取り組みを本格化させている。

 周年をどう捉え、経営理念をどう継承していくのか。既存施設の品質向上や投資方針、インバウンドと国内需要の考え方、新規開業へのスタンス、そして2026年の位置付けとは何か。さらに、変化の激しい環境下で観光産業が果たすべき役割について、山下信典社長に聞いた。

代表取締役兼社長執行役員 山下信典氏
-創業70周年を迎えました。この節目をどのように振り返っていますか。

山下信典氏(以下敬称略) 70周年という節目においては、70年間事業を支えてくださったお客さまや、現場で会社を支えてきた従業員にどう恩返しするかが重要だと考えています。

 今回は従業員主体の70周年プロジェクトを立ち上げ、様々な企画を行ったうちの一つとして全国を横断した従業員交流の場を設けました。普段なかなか接点のない事業所で働く従業員同士がつながり、横の関係性が生まれたことは、想像以上に大きな成果でした。

 また、こうした取り組みと並行して、例年行っている私が直接全国の事業所を訪れ、従業員の声を聞くダイレクトミーティングも継続して実施しました。70周年は、次の成長に向けて、改めて社内のつながりや対話を深める一年になったと受け止めています。

-創業以来の経営理念や社是について、見直しの考えはありますか。

山下 見直す考えはありません。1984年に制定された当社の経営理念は、社是、経営指針、行動指針から成り、藤田観光の根幹を成すものです。人材を最も重要な経営資源と捉え、健全で質の高いサービスを提供するという考え方は、今の時代にも十分通用します。

 時代に合わせて施策や表現を変えることはあっても、企業としての軸は変えるべきではありません。むしろ、環境が大きく変化する今だからこそ、理念に立ち返ることが重要だと考えています。

-ダイレクトミーティングを継続されているとのことでしたが、現場の変化をどう感じていますか。

山下 最近は、会社の将来像や成長戦略についての質問が明らかに増えています。以前は現場の課題や日々の業務に関する話が中心でしたが、今は「会社はどこに向かうのか」「どう成長していくのか」といった視点が増えてきました。

 これは、会社が回復から成長へ向かっていることが、従業員に伝わってきている証拠だと思います。経営者が自分の言葉で方向性を語り、情熱を持って示すことが、エンゲージメントを高める上で欠かせません。