スペイン政観、業界向け懇親会を開催 日本市場で60万人送客を目標に
9月1日付でスペイン政府観光局日本支局長に就任したエンリケ・ルイス氏
スペイン政府観光局は1日、都内で年末懇親会を開催し、2025年の活動報告と来期の方針を発表した。大阪・関西万博を契機にスペインからの代表団来日が相次いだ一年を総括し、世界的な観光回復の中で日本市場を重点市場として位置づけた。
プレゼンテーションでエンリケ・ルイス局長は、スペインが2024年に約9400万人の外国人観光客を迎え、世界第2位の訪問国としての地位を維持していると報告した。観光業はGDPの12%、雇用の13%を占める基幹産業で、外国人旅行者による消費額は1260億ユーロに達した。
世界経済フォーラムの「旅行・観光開発指数2024」では、インフラ、文化、交通アクセス、サステナビリティなど多方面で高評価を得て世界第2位にランクイン。2025年には訪問者数が9800万〜1億人に達し、過去最高を更新する可能性があるとの見通しを示した。
日本市場については、2024年に40万9959人、2025年1月~8月に28万1193人がスペインを訪問。コロナ後の回復が進むなかで、1人当たり平均消費額は2024年2871ユーロ、2025年2710ユーロを記録し、1日あたりでは2024年439ユーロ、2025年619ユーロと高水準を維持している。訪問先はカタルーニャ州やマドリード州が中心だが、近年はバスク州の伸びも顕著という。日本人旅行者は女性のミレニアル世代とZ世代が中心で、FITが主流。YouGov調査では「日本人にとって最も魅力的で満足度の高い欧州の旅行先」で第1位に選ばれた。
同局は今後、日本人旅行者数60万人の達成を目標に、平均宿泊日数と消費額の拡大を目指す。重点施策として北部「グリーン・スペイン」や内陸部などへの誘客、地方観光の多様化を推進。ブランドの再構築により、ガストロノミー、ライフスタイル、文化、サステナビリティを軸に、より洗練された「憧れのスペイン」像を発信していく方針を示した。
また、今年7月より開始した観光キャンペーン「Think you know Spain? Think again(本当にスペインを知り尽くした?もう一度よく考えてみて)」を紹介。大都市やビーチなどには触れず、地方の小さな村や多様な気候・文化に焦点を当てた映像を制作したことを明らかにした。2026年には日本人モデルを起用した特別版を展開する予定で、これは同局として初の試みとなる。
観光トピックスとしては、2026年にバルセロナのサグラダ・ファミリアで「イエス・キリストの塔」が完成予定であること、マドリードの王室コレクション・ギャラリーの開館、さらには2026年8月12日に今世紀最大規模の皆既日食がスペイン北部で観測できる見込みであることが紹介された。加えて、同年はサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路の「聖年」に当たり、欧州各国からの巡礼者増加も期待されている。
ルイス局長は「日本とスペインの観光交流の成功は、日々ご尽力いただく皆様の努力によるもの」と感謝を述べ、2026年以降のプロモーション強化への期待を示した。懇親会では、旅行会社ら業界関係者が交流を深め、スペイン観光のさらなる発展を誓った。

