GMO-PGとForterが示す「攻めの決済改革」、不正対策×承認率向上が新軸に
GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)は14日、世界規模の不正検知AIを提供するForter(フォーター)との協業内容を発表し、報道関係者向けの勉強会を開催した。
両社は、GMO-PGのオンライン総合決済サービス「PGマルチペイメントサービス」にForterを実装。不正利用防止と承認率(取引成功率)の向上を両立する"攻め"の決済ソリューションとして紹介した。
観光分野では、旺盛なインバウンド需要などを背景に不正が増加傾向にあり、対応が急務とされる。
不正増加と「過剰防御」のジレンマ
日本クレジット協会の統計によると、2024年のクレジットカード不正利用被害額は555億円。5年前の約2倍に達している状況だ。
Forter日本担当カントリーマネージャーの野田陽介氏は、「生成AIや闇バイトを背景に、不正が効率化・自動化されている。日本語や住所入力といった障壁がAIによって低くなり、攻撃の敷居が下がっている」と指摘する。
一方で、不正対策を強化しすぎると、正規顧客の取引まで制限してしまう。2025年4月に義務化された3Dセキュア(本人認証)では、追加認証が原因で「カゴ落ち(離脱)」が発生し、販売機会を損ねるケースも見られる。
「不正対策が過剰でも承認率が下がり、ブランド信頼や売上に悪影響を与える構造がある」と野田氏。
「承認率」は新たな経営KPIに
今回のForter実装は、このジレンマを解消するものだ。
GMO-PGの財津拓郎氏は、「クレジットカード決済において100件中95件が承認されれば承認率95%。キャッシュレス決済が拡大するなかで、決済体験を快適にし、この数値を高めることが事業者の売上最大化に直結する」と指摘。
Forterは、世界18億以上のアイデンティティデータと年間50兆円規模の取引データを解析し、取引単位ではなく「人物単位」で信頼性をスコアリングするAI不正検知を採用。
これにより、低リスク取引は自動的に3Dセキュアをスキップし、高リスク取引のみ追加認証を行う。同社によると、国内導入企業では平均10ポイントの承認率向上が確認されているという。
財津氏は、「承認率はもはや決済部門の指標ではなく、経営指標として位置づけるべき。不正抑止と顧客体験の両立が重要」と語った。



