HIS、子会社による新たな雇調金不正受給を公表 再発防止策の進捗も報告

  • 2025年9月14日

 HISは9月12日、連結子会社ツアー・ウェーブによる雇用調整助成金の不正受給が宮城労働局の調査で判明したことを受け、返還と役員処分を公表した。同日、グループ全体の再発防止策の進捗状況についても報告し、コンプライアンスと内部統制の徹底を改めて示した。

 宮城労働局は、ツアー・ウェーブが設定していた特別休業日に一部従業員が就労していた事実を確認し、不正受給と判断した。8月14日付で支給決定取消・返還通知を受領した同社は、9月1日付で1億8406万2660円(違約金・遅延金を含む)を返還した。

 これを受けHISは9月12日、ツアー・ウェーブ代表取締役社長の月額報酬を10~12月の3カ月間30%減額する処分を決定した。内部監査部の調査では役員関与は確認されず、連結業績への影響は軽微としている。なお、他の連結子会社に対する労働局の調査は継続中とのこと。

 再発防止策については、トップメッセージの周知や役員研修に加え、勤怠管理に潜むリスクを踏まえた階層別研修やケーススタディを活用したメール配信を実施している。ガバナンス面では、子会社ガバナンス検討委において役員選任基準や評価制度を整理し、関係会社管理規程に反映することでマネジメントの固定化を防止している。公的助成金の申請管理は親会社への報告プロセスを規程化し、業務フローを構築して運用を開始した。

 また、労務管理では勤怠実態との乖離を把握できるシステムを段階的に導入し、国内子会社では不正が判明した会社に適用、海外子会社ではモニタリング体制を構築中としている。内部通報制度については定期発信で活用促進を図り、取締役監査等委員が社内対応を担う新たな運用を9月から開始した。さらに内部監査では規程改定と人員強化を進め、データ分析を取り入れることで効率と効果を高めるとしている。