ワークショップ「SAKIDORI FRANCE 2025」開催、高品質商品を軸にリピーター中心の市場回復に期待
フランス観光開発機構(アトゥーフランス)はこのほど恒例のワークショップ「SAKIDORI FRANCE 2025」を東京・大阪で開催。フランス側からは観光局やホテルなど35団体・社が来日。日本側の旅行会社は東京で128人の参加があり、約630件の商談が行われた。大阪会場では約70人が参加し、別日程のメディア関係者50人を含めると、約250人が商談と情報収集を行った。
■ 日本市場は緩やかだが前進、2026年はモネ没後100周年で印象派をテーマにPR図る

アトゥーフランス日本およびASEAN代表のジャン=クリストフ・アラン氏は、会期中に開催された記者会見で、「日本市場の戻りが依然遅いが、フランスから昨年と同等の参加があり、日本市場に対する期待は大きい」と話す。
アラン氏はフランスへの日本の旅行市場の回復の遅れとして、コロナ禍で減少した航空便数の回復の遅れや日本へのインバウンドの好調による座席減、ウクライナ戦争などによるフライトの長時間化と価格高騰、円安といった経済的要因があると見ており、ワークショップに先駆けてフランス観光開発機構がフランス側出展者に対して実施したセミナーでは、こうした部分についても言及したという。
また、2025年1~3月にフランスを訪れた日本人は対前年同期比で増加。フランス銀行の統計では、同期間の日本人の観光消費額は対前年比17%増で、2019年の同期比3%減。物価の高騰といった影響はあれども「リピーターやビジネス需要を中心に、日本市場はゆっくりとではあるが堅実な回復を示している」とアラン氏は分析する。
今後は市場をけん引するリピーターを中心に地方の多様性、より深掘りしたテーマや素材など、高品質商品に軸を据えたPRを展開。2023年ラグビーW杯、2024年パリオリンピック・パラリンピック、2025年大阪万博のフランスパビリオンの人気など、「潜在需要は高い。フランスに言及している多様なコンテンツとタイアップを図り、プロモーションを行っていきたい」という。2026年は日本でも人気の高い印象派クロード・モネ没後100周年をテーマに「関連地域とともにPRを図る」考えだ。
■ 「エッフェル塔」改装工事が終了、顧客満足度向上に向けスタッフ教育

今年の「SAKIDORI FRANCE 2025」にはエッフェル塔公社が参加し、社長のジャン=フランソワ・マルタン氏がインタビューに応じた。
マルタン氏によると、エッフェル塔はパリオリンピック・パラリンピックの開催にあたり、10年に及ぶ改装工事が終了。2024年の有料来場者数は約630万人、1日あたり約2万8000人を数えた。2025年の1~4月も前年同期比10%増と好調。有料入場者数の67%は外国人観光客だという。さらにエッフェル塔周辺で写真を撮るなど、塔に上らない観光客は推定で2000万人以上になるとされ、「こうした層をいかに有料入場者数につなげるかが課題の一つ」と語る。
とはいえ、エレベーターの搭乗人数や塔内部のキャパシティなどを考慮すると、最大受け入れ可能人数は約720万人。マルタン氏は「30ユーロの入場料に見合う価値を提供し、顧客満足度の向上を図れるかがポイント」と話す。
その一環として、改装工事期間中にチケット購入のオンライン化、待ち時間の短縮、ミシュラン2つ星レストランの開業、ブラッスリーの質の向上やスタッフ教育などに取り組んだところ、2024年のアンケートによる顧客満足度は96%で対前年比8%増となった。「特におもてなし、清潔さ、安全性などが評価された」と話す。今後はさらなる付加価値の向上を目指し、6人限定のVIPツアーなどの特別感、MICE向けの利用などにも力を入れていく。旅行会社に対しては、「団体入場を円滑に行うためにも、公社や正規代理店からのチケット購入を」と語った。