【欧州文化首都'26】多角的なアプローチが可能なフィンランド・オウル スタートアップイベントや企業視察で注目<後編>

 26年の欧州文化首都に選ばれているフィンランド中部の街・オウル。後編ではビジネスの街らしい、オウルならではのアクティビティを紹介する。

ユニークなビジネスイベント

 前述したとおり、緯度65度に位置するオウルでは冬季の寒さにフィーチャーしたイベントが開催されている。中でも注目したいのが、『ポーラーベアー・ピッチング』。2014年に始まったイベントで、スタートアップ企業が実業家たちの前で事業内容をアピールし、優勝すれば1万ユーロの賞金を勝ち取ることができる。ピッチングの場はなんと氷の海に開けた穴“アヴァント”。開催時期は2月下旬で、氷点下にもなる気温の中、氷穴に入っている間だけ、自社のサービスや製品についてアピールすることができるというもの。近年では日本でもオーディションが開催されており、オウル市の姉妹都市である仙台市や北海道、今年は東京でも開催されたことでますます注目を集めているのではないだろうか。

会場は凍てつく北海の氷に開けた穴。残念ながら賞は逃したが、今年も日本人の参加もあった。インドやアメリカからも参加者がいる、国際ビジネスピッチングだ。

 こうしたビジネスイベントが開催されるようになった背景には、前述のとおり“ノキアショック”が関係している。工場が閉鎖され技術者が海外に流出するのを止めるため、フィンランド人らしいアヴァントを舞台に遊び心あるビジネスイベントが誕生したというわけだ。

 同じように、ノキアショックに歯止めをかけたのが教育で、もともと大学生を集めるためにオンライン授業を早々に開始していたことが奏功したという。オウルは学生の街・若者の街としても知られ、Visit Ouluでは積極的に教育旅行の受け入れを行っている。

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