ポルトガル、テレビや雑誌からの注目増、持続可能な回復へ多彩な魅力アピール

  • 2024年4月16日

 サステナビリティへの戦略では、2017年に10ヶ年の計画を策定。経済、社会、環境のそれぞれについて持続可能な観光開発を進めるために市民や地域社会との共存、季節と目的地の分散などに取り組んでおり、地方での観光の受入体制を整備したり観光関連企業の節水策などのESG対応支援に大規模な予算を投じたりしている。

駐日ポルトガル大使のヴィトル・セレーノ氏

 また、この一環としてスローツーリズムの促進にも注力しており、昨年末には「Future」と「Tourism」を組み合わせた「Futourism(フューツーリズム)」キャンペーンを新たに立ち上げ。3月には駐日ポルトガル大使公邸にメディアを招いて懇親会を開催し、同キャンペーンをアピールした。

 フューツーリズムのキャンペーンは、「#1 無関心ではなく深く関わること」「#2 バーチャルではなくリアル」「#3 誰のものでもなくあなたのもの」「#4 スタンダードではなくユニーク」「#5 グローバルではなくローカル」「#6 波ではなく海」「#7 グレーではなくグリーン」「#8 不遜ではなく謙虚に」「#9 トレンディではなくトレンドセッター」「#10 怠慢ではなく思いやり」「#11 時間に追われることなく没頭する」「#12 人工的ではなく人間性」からなる「12の決意」を打ち出して、消費者に対し持続可能な未来の旅行者への成長を呼びかけるもので、それぞれに対応する12本の動画も公開

 セレーノ氏は、旅行観光産業にとっての2023年が2019年の記録を更新して過去最高の1年となったとし、そのうえで観光の重要性を明確に理解する国として旅行観光産業のサステナビリティ確保に注力し「世界で最も持続可能な旅行先のひとつ」としてのポジショニング確立をめざす方針を強調した。

 日本市場は、先述のシーズナリティだけでなく地方分散や文化・伝統体験の重視などの面でも以前からサステナビリティ重視の方向性に合致しているものの、さらに旅程やツアーの多様化をめざして旅行業界と消費者のそれぞれに働きかけていく考え。実際に、4月2日には駐日ポルトガル大使館で旅行業界関係者向けのセミナーを実施し、桜やアーモンド、ジャカランダといった国中を彩る花々やお祭りなどの新しいテーマをアピールした。