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行員として40年、セカンドキャリアで客室清掃に従事する渡邊幸生さん

  • 2023年9月11日

 銀行で支店長まで務めあげてきた71歳(23年9月現在)の渡邊幸生さん(グローバルゲイツ所属)。銀行という言わば事務職で約40年働いてきた渡邊さんは、現在、千葉のホテルで肉体労働ともいえる客室のシーツ剥ぎ業務を行っている。現場のスタッフから感謝される人気者の渡邊さんは、仕事の一生懸命さはもちろんだが、偉ぶることのない人柄が愛されている。渡邊さんにはまだまだこの仕事を続けてもらいたい。

-渡邊さんは、銀行畑で40年働いてきたそうですね。

渡邊幸生さん(以下敬称略) 千葉で銀行員として40年働きました。60歳で定年して65歳まで銀行センターの管理業務をしました。その後、今のシーツ剥ぎの仕事を始めました。これまで肉体労働はしたことなくて、65歳で初めて肉体労働をし始めました。ただ、銀行の研修センターで働いていた時は、自然環境が良すぎたので…落ち葉や雪かきをたくさんしました。結構、肉体労働だったから、それがよかったのかもしれないですね。

-今はどんな仕事をされているんですか?

渡邊 僕のお仕事はお掃除とかベッドメイクではなく、とにかくシーツを剥いでまとめていく係なんです。この職種はランナーと言われるんですけど、とにかく走り続けているといいますか。ただこういう職種があるホテルは珍しいかもしれません。210室ある12階から16階までのフロアを行ったり来たりしています。午前9時からお昼12時まではノンストップで働きます。1日1万3千歩は歩きますね。一人で5フロア担当していて、忙しいと1フロア30分位かかります。そうすると、顔を出せないフロアも出てきてしまうんです。その時は女性のメイドさんも自身でシーツを剝さなければいけないので、とても大変だと思います。剥いだシーツを台車で運んで、雪の山のようなシーツをキャスターの中に入れていく。この作業は女性は大変ですから。なので極力、不平等がないように顔を出せなかったフロアは、別日では最初にやったりして、平等になるようにしています。とにかくメイドさん達が気持ちよく働ければいいかなと思って働いています。シーツを剥いておくだけの作業なんですけど、メイドさんには感謝されます。家ではほとんど感謝されないですけど(笑)。

 仕事が終わったら、特におしゃべりとかせずにさっと帰ります。家に帰ったらすぐにビール飲みますよ。これが一番の楽しみです。時間があれば、マリンスタジアムに行って、野球観戦しますね。休日は好きな推理小説を読むのが楽しみの1つです。とにかく変な人間関係もないですし、そこが気楽でいいですよ。銀行時代はいろいろ人間関係で大変でしたから。

-銀行畑で働いていた方が、いきなりホテルの客室清掃の仕事を始めるということは勇気がいったんじゃないですか?

渡邊 仕事に上下はありませんが、変なプライドを捨てることが大切だと思います。偉ぶっちゃ絶対、駄目ですよ。僕の場合、銀行時代はずっと謝ってきましたから、高飛車の人生というよりは謝りの人生をずっとやってきたんでね(笑)。

 とにかくこうやって仕事があるだけでもありがたいですよ。この仕事ができなくなったらもう働くのは終わりかなと思っています。今はこうやって仕事があるから充実していますよ。だって家にいてもやることないもん。家にいたら「何してんの?」「ぶくぶく太って」とか言われるし(笑)。ここにくればさっきも話しましたけど、1万3千歩も歩けますし。それこそ銀行では動かなかったからウエスト98cm位ありましたけど、ここで働くようになってから85cm位までへったんですよ。だからズボンも全部買い換えて。コロナ禍になって、仕事が減って、ぐうたらしていたら、88、91のラインに戻りましたけどね(笑)。

-今後の展望は?

渡邊 身体が動く限りはこの仕事を続けていきたいですけどね。ウチにいれば、いい顔されないけど、ここに来れば、「渡邊さん来てるー」って頼りにされますから(笑)。身体が続く限りやりたいです。ただシーツをリネン袋に詰めて、キャスターに乗せるんですけど、あれが結構、重い。このシーツが持ち上がらなくなったら引退かなと思っています。でもメイドさんに冷たくされたらすぐ辞めちゃいますけどね(笑)。

 今、ここの客室清掃の現場は、70歳以上が6人、65歳以上が5人かな。言い方悪いけど、年よりばかり。この人達が抜けたらどうなっちゃうんだろう?それが心配です。ただ若い技能実習の外国人の子達が頑張ってくれるとは思いますよ。

-ありがとうございました。



取材協力/グローバルゲイツ
撮影/大森大祐 取材・文/浦澤修