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JATA高橋会長「海外旅行の復活なくして旅行業界の復活なし」、新型コロナ5類への見直しが急務

  • 2023年1月13日
左からJATA理事・事務局長の池畑孝治氏、会長の高橋広行氏、理事長の志村格氏

 日本旅行業協会(JATA)は1月10日、新春記者会見を開き、会長の高橋広行氏(高ははしごだか)が旅行業界の現状や今年の取り組みについて説明した。

 高橋氏は昨年の業界の状況を「前半は五里霧中、後半は一陽来復」と表現し、「10月の水際制限の大幅な緩和、円安等も相まって、特に訪日旅行が回復の動きを見せた。国内旅行も県民割や全国旅行支援といった追い風もあり、旅行業界全体としては明るい兆しが見え始めた」と振り返った。

 一方で主要旅行会社の旅行取扱額は2019年の5割程度にとどまっており、「厳しい経営環境が続いている」と強調。高橋氏によると、国内旅行は10月の全国旅行支援の開始後、2019年度比で8割程度まで回復しているが、これは施策の効果に負うところが大きく、「自律的な回復軌道に乗り切ったと言える状況にはない」という。本格的な回復には相当な時間と労力がかかるとして、国に対し来年度以降も「細くてもいいので可能な限り長く」需要喚起策を継続することを強く求めていく考えだ。

 訪日旅行は水際対策の緩和により2019年比で約4割まで回復してきたが、「入国時のワクチン3回接種、もしくは72時間前の陰性証明の取得が足枷となっている」と指摘。こうした規制は世界に類がなく、グローバルスタンダードに合わせていくべきだと訴えた。さらに、この規制が業務渡航や海外修学旅行、日本人の海外旅行、地方空港の国際線再開にも少なからず影響していると言及し、その解決策の1つとして、新型コロナウイルスの感染症法上の分類を早急に2類相当から5類へ見直すよう、国に要請していく考えを示した。

海外旅行の再開を阻むのは委縮したマインドセット

 国内旅行、訪日旅行は回復傾向にあるが、海外旅行は2019年比で2割程度にとどまっている。高橋氏はこの背景として、円安や旅行費用の高騰といった外的要因に加え、「今の状況で海外旅行に行っていいのか」という委縮したマインドセットが根本にあるとして、旅行者のマインドを解きほぐし、海外旅行の機運を高める必要があると説明した。

 具体策として、各国政府観光局や航空会社と連携し、2つのプロモーションを展開する。まずは近場で人気が高く、早期回復が見込まれる韓国、台湾、ハワイ、アセアン諸国に焦点を絞ったデスティネーション別戦略を実施。国際交流の流れを作り、その姿をアピールすることで海外旅行の機運醸成を図る。2つ目は昨年7月に行った「海外旅行再開宣言」の第2弾で、昨年はプロモーションの直後に新型コロナウイルスの第7波が到来したことを踏まえ、タイミングを見計らったうえで年内に実施する考えだ。

 高橋氏は「海外旅行の復活は今年のJATAの最重要課題として位置づけ、全力で取り組んでいく。海外旅行の復活なくして旅行業界の復活なしということだ」と述べ、かつての海外旅行2000万人の需要を再び呼び起こしていくことに意欲を示した。

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