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シドニー、MICE回復へいち早くキャンペーン、サステナビリティも取り組み強化

  • 2022年12月19日

 ニュー・サウス・ウェールズ州へのMICE誘致活動を担うビジネス・イベンツ・シドニー(BEシドニー)から、クライアントエンゲージメント担当エグゼクティブ・ジェネラル・マネージャーのクリスチャン・ニコルス氏らが来日し、年明けから開始予定のキャンペーンと現地最新情報をアピールするとともに、本誌取材に対してリカバリーの現状やトレンドなどについて説明した。

(右から)BEシドニー クライアントエンゲージメント担当エグゼクティブ・ジェネラル・マネージャーのクリスチャン・ニコルス氏、日本市場を担当するコーポレート&インセンティブ部門クライアントエンゲージメントマネージャーのルーシー・ジン氏

1名50豪ドル助成で負担軽減

 キャンペーンでは、日本と韓国市場を対象に来年2月から「BESydney アジア助成金」のプログラムを始動。2023年4月から2024年3月までにシドニーと周辺地域で開催されるMICEイベントに対し1名あたり50豪ドルを助成するもので、最低3泊、100名から400名までの条件が付く。400名以上については個別交渉で金額を決定する。

 ニコルス氏はこの助成金について、フライトなどの価格上昇の影響を相殺し現地での体験をより充実してもらうことが狙いと説明。また従来は400名以上の団体に注力していたBEシドニーが中小規模の団体に助成金を提供する意味については、「引き続き大型団体も重視していくが、コロナ禍からのリカバリー期は予算などの理由により団体のサイズが以前よりも小さくなる傾向が見られる」とした。

 助成金の手続きは新たに立ち上げるオンラインプラットフォーム上で申請から審査、交付までを一貫して実施する予定。同プラットフォームは、今回のキャンペーンだけでなくゆくゆくは旅程や現地の最新情報を確認したりサプライヤーと関係を構築できたりする機能も搭載予定。「まずはキャンペーンを利用してお越しになる皆様からのフィードバックを頂戴し、それを開発に反映していく」考えだ。

 また旅行業界向けの活動では、少なくとも1回のFAMツアーを来年上半期に実施予定という。

MICE回復状況、景気後退は懸念も需要旺盛

今年4月にはリカバリーに向けて受け入れ体制の充実を伝える動画も制作

 シドニーやニュー・サウス・ウェールズ州におけるMICEの動向では、往来再開が先行したインドと東南アジアは回復も早くキャンペーンもすでに開始済み。インドについてはすでにシドニーを訪れたインセンティブグループもあるという。

 また傾向として、確定までのリードタイムが短くなっているとのこと。例えばインドからのあるグループは10月に決まったばかりだが年内の訪問予定だ。一方、予算は業界によって異なっており、「ある業界では非常に潤沢な印象だが別の業界では少し絞っているような状況。後者のようなケースでは参加者数を少し減らされるなど調整されてもいる」という。

 全世界的に懸念が高まる景気後退については、「今のところはまだ影響はないと言い切ってもいい段階」ではあるものの本格化すれば影響は避けられないため注視。ただしそれでも意欲は旺盛で、来日中に意見交換した旅行会社からも「景気後退よりも往来再開後の躊躇を懸念するご意見」を多く聞いたと説明。そのうえで「インセンティブの役割を考えればなくなることはない。シドニーでは非常に豪華なイベントも開催可能だが、逆に費用を節約しながら大きな成果を期待できるアイディアもご提案できる。コロナ禍で無料の屋外アクティビティも充実した」とアピールした。

 航空座席供給量の動向としては州政府による航空路線誘致用予算の効果もあって回復しつつある状況。日本路線ではカンタス、全日空、日本航空が運航を再開しており「ロードファクターも良好と聞いている」という。運賃は、以前よりも値上がりしているものの、インドなどでは便数増とともに運賃も平常化しはじめており、日本路線でも同様の推移を期待している。

 なお、来年の見通しについては、中国の遅れもあり2019年水準への完全回復は望めないものの中国以外は「すでに記録的な1年になることが想定できる」という。一例として8000人規模の歯科医の国際学会も受注しているという。日本市場はコロナ前に決まっていて延期されていたものがいくつかあるが、新規の問い合わせは「まだこれから」の状況だ。