割引という施策が旅行者の質を変える-RT Collection 柴田真人氏

  • 2022年11月22日

「割引」が「質」を変えた例

 全国旅行支援や都民割、県民割のトラブルが原因で旅行者側がクレームを口コミ投稿した事例が、先日Twitterで話題になっていました。実際にホテル予約サイトでその口コミを確認しましたが、ひどいものです。その内容はというと、

・口コミの投稿は10月中旬
・旅行者が長野県の宿泊施設をホテル予約サイトを通して予約
・宿泊プランはおそらく全国旅行支援のプラン(ワクチン接種証明書が必要)
・旅行者は宿泊日当日にワクチン接種証明書を忘れる
・ホテル側はワクチン接種証明がないため、割引分の支払いが必要と旅行者へ案内
・旅行者はホテル側が割引分を支払えというのは不当な発言と主張
・旅行者本人はワクチン接種を3回受けている、前日に泊まった別の宿泊施設からはワクチン接種証明書の提示を求められなかったと主張
・さらに旅行者は接種証明書を持ち歩く習慣はない、持参するのを忘れた人に対して原則論を伝えるのは接客業としてどうなのかと主張
・旅行者は宿泊施設の評価を5段階中、1の評価


 割引適用を受ける旅行者自身がワクチン接種証明を忘れたことがそもそもの原因で主張も論理破綻していますが、口コミでこのような内容まで投稿されるのは、宿泊施設側にとってはマイナスでしかないですね。この旅行者はこの宿泊施設を利用するのは2度目みたいなのですが、「割引」という施策が旅行者の「質」を変えてしまった良い例です。


 いろいろネガティブな部分はありますが、観光地に旅行者が戻ってきて活気付いているのはいいことですよね。閑散とした観光地を見るよりも活気付いている方がやっぱりいいです。観光庁が毎月発表している「宿泊旅行統計調査」でも、2022年8月の全国宿泊施設の平均客室稼働率が51.3%となりました。全国平均で50%を超えたのは、2020 年2月以来の2年半振りとなり、うれしい話題となりました。(9月は速報値で50%をまた切ってしまいそうです)


 観光業は紆余曲折ありますが、少しずつでも前進していきたいですね。


柴田 真人 / Masato SHIBATA
大学生時代にオーストラリアのタスマニア島で過ごし、旅行会社に就職。15年間の旅行会社勤務時代には主に東南アジア方面の仕入れや企画に従事。また、フィリピンでの5年7ヵ月間の海外赴任を通して、アウトソーシング事業の立ち上げからインバウンド事業における現地支店の立ち上げ及び日本マーケット初のチャーター便運航のプロジェクトなどを経験。その後、2018年に合同会社 RT Collectionを設立。