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【デュッセルドルフ現地レポート】バーデン・バーデン、世界で最も美しいカジノへ

  • 2022年8月8日

 この小さな町は、カジノの収益で財政がとても潤っている印象があります。手入れをされたたっぷりの緑の中での散歩途中に休憩できる素敵なベンチも数多く設置されています。クリスマスの時期には、街の中心部の歩道にカジノのプレゼンテーションなのか真っ赤なカーペットが一帯に敷き詰められている光景には本当に驚かされました。その昔は馬車が通ったのであろうクアハウス前の並木道の両側には、カジノでの勝敗の運命を垣間見るような豪華なセカンドハンドの店舗や高級アンティークショップがあり、ウインドウショッピングだけでも目の保養となる品々が沢山見受けられます。探し物がある方はここで見つかるもしれません。シャネルやエルメスのビンテージ商品も良い状態の品を多く見かけるので、ケリーやバーキンをお探しの方は足を運んでみてはいかがでしょう?

個人や団体の寄付により、常に新しい状態の景観にあったベンチが設置されています

 中心地はそんなシックでゴージャスな趣ではありますが、長距離列車も停車するこの町の中央駅(郊外)は、田舎の無人駅?と思われるような信じられない程質素な雰囲気です。でも実はそれもまた計算されつくした粋な演出なのかと思えています。

 ICEを利用すればデュッセルドルフから直行で2時間半で行くことができますが、絶対にお勧めしたいのがスイス行きのスイス車両をつかった急行列車(EC)。ICEの路線とは異なり、ライン川ギリギリの線路を4時間弱かけてのんびり行く方法です。

 デュッセルドルフから乗車するとマインツあたりからライン川沿いに暫く走るので、ローレライもまるで船に乗っているかのように間近で楽しめます。反対側の窓の外にはドイツワイン(特にリースリングの故郷)の長いブドウ畑の斜面も目前に迫り、どちらを見ても贅沢な風景を数時間味わうことができます。スイス車両の一等車はパノラマ天井となっていて最高です! 食堂車も景色が見えるようにテーブルが配置されている場所もあるので、きちんと布のクロスが敷かれているテーブルで景色を眺めながらの食事も味わいがあり、4時間は本当にあっという間です。

車窓からローレライを望む

パノラマ天井の一等車

 バーデン・バーデンの中心地のレストランのレベルはどこも高く、食もかなり充実していることは言うまでもありません。名門ゴルフ場もすぐの距離にあります。長期滞在ができれば理想ですが、1泊2日でもそれなりに楽しめるので、機会があれば是非足を延ばされてはいかがでしょうか。

趣のある秋のバーデン・バーデン

※本記事は8月1日時点の情報です。

玉井京子
1983年にドイツの日系旅行会社で働き始め、1985年よりJTBデュッセルドルフ支店に勤務。1993年の撤退まで主にアウトバウンド業務に携り、その後独立して日本人家族のための旅行の企画を主とした旅行会社を立ち上げました。現在は旅行関係の仕事からは離れていますが、長年住んで見えてきたドイツの素顔や現状をご紹介していきます。