全日空、アジア戦略強化-投資会社設立、空港運営参入も検討

  • 2013年5月2日

▽アジアへの投資強化、シンガポールに投資会社設立へ-空港運営参画も

 また、中期経営計画ではアジアへの投資を強化していく。2012年の公募増資で得た資金を活用して投資することで収益領域の多角化と、成長領域の拡大をめざす方針だ。まずは投資の実行速度を加速化させるため、6月上旬をめどにシンガポールに投資管理会社を設立。アジアのフルサービスキャリアやLCCといった航空会社や航空関連事業への投資を実施していく考えだ。資本金は1000万円規模を予定しているという。

 清水氏はシンガポールは地理的にもアジアの中心にあり、アジアの情報が集まる場所であるとし、「法人税などの税的メリットや、70ヶ国以上に租税条約を結んでいるというメリットもある」と説明。既にいくつかの案件が動いているとした。

 投資管理会社はANAホールディングス内部に設立。投資管理会社を通して各国の状況にあった特定目的会社を立ちあげ、投資していく。

 また、ANAグループの知識やノウハウ、人材の活用による、整備や空港ハンドリング、ケータリングといった航空附帯ビジネスの拡大や、新規参入も検討。同グループは今年4月からは持株会社制へ移行しており、こうした取り組みを通じて空港附帯ビジネスについて、グループ外からの収益拡大をめざす考えだ。加えて、既に参画している乗員訓練事業に続き、整備受託事業などに参画していくという。

 さらに、清水氏は国土交通省の規制緩和次第としながらも「空港運営ビジネスもできないかと検討している」とコメント。民営化に向けた動きが活発化している仙台空港などを例に挙げた。日本国内の空港が中心になるが、海外の空港経営についても「話があればやりたい」考えを示した。

 このほか、中期経営計画では経営基盤の更なる強化をかかげた。2012-13年度ANAグループ経営戦略で掲げた「グループ経営体制の変革」「構造改革によるコスト競争力と財務体質の強化」を継続して取り組んでいく。同グループでは2014年までに1000億円のコスト削減を計画しているが、清水氏によると「着実に成果を積み上げている」という。