業界ニュースを振り返る ー HISも多角化進める中、旅行を仕事にできるのか

  • 2022年6月19日

 HISの実績は、JTBとは違い純損失が大きい期となりました。今回はあまり触れませんが、その要因の一つがエネルギー事業とその売却による損失なので、まあやむ無しという気もします。どうしても多角化戦略を取ろうと思うとこういったリスクは避けられないですから。ただ、この多角化戦略をやめるつもりは当然ないようで、これから「秀そば」やその他の旅行ではない事業の強化も続けるとのこと。経営目線では非常に真っ当だろうと思います。コロナで我々全員が再認識しましたが、平和産業である旅行事業は本当にリスクがたかい……旅行事業のみ一本で行くのは相当ハイリスクな経営戦略です。

 一方、皆さんのコメントを読むと私の予想していなかったことが問題視されていました。「旅行の仕事がしたい人は今後どうすればいいのか」ということです。私なんかは正直旅行を仕事にしたいなんて強い意志は全くないまま就職し、今はやってみて面白かったからIT系に移っちゃったという芯のない奴ですが、ずっと旅行を仕事にしたいと考えている方々にとって今後厳しい環境になるのは、まず間違いないでしょう。この業界は結構「やりがい搾取」的な雇用で優秀な人に働いてもらっていた文化があると個人的には思っていて、旅行の仕事がしたいから給料が低くても待遇が悪くても働いている人たちがいたと思うんですが、そういう人たちがそば屋に異動してね、と言われたらまず辞めますよね。大手が多角化戦略をすすめる中で、旅行業界で働きたい人たちのモチベーションどうなっていくのか……誰も働きたくない業界にならないことを祈りますが。

 暗いことばかり書いてしまいましたが、観光産業が底を打ったであろうことは事実。私のInstagramでも海外旅行に行く友人たちの投稿がかなり増えてきました。行くための手間は増えていますが、行きたくても行けなかった頃に比べたら雲泥の差です。需要があるなら戦いようもありますし、来年こそ急回復といってほしいものです。