週間ランキング、1位はJAL機内食-旅行業界も個人に光を

[総評] 今週の1位は、日本航空(JL)が発表した新しい機内食についての記事でした。取材の案内をいただいた時からきっとこれは多くの方に読んでいただけるだろうと思っていましたが、予想が的中して嬉しい限りです。

 もともと個人的に料理が趣味のためそういった雑誌やウェブサイトもよく見ており、この若手料理人のコンテスト「RED U-35(RYORININ's EMERGING DREAM)」についても知っていたのですが、このような形で自分の仕事と関わってくるとは思っていませんでした。

 しかし、やはり食というコンテンツは非常に強力です。例えば、このRED U-35のイベントに深く関わっているぐるなびの「シェフごはん」というウェブサイトでは、料理人の方々の半生を振り返るコーナーがあり(リンク)、いつも更新を心待ちにしているほどファンなのですが、多くの方が修行の過程で各国、各地を訪れ、地域の味だけでなく文化や魅力を吸収されており、あるいは人生は旅であるというような意味も含めて、ある種の紀行文を読むような心持ちがします。

 いうまでもなく旅と食は密接な関係にあり、人にもよるのでしょうけれども、私は美味しいものが期待できないデスティネーションは絶対に選びたくありません。逆にいえば、食べ物が充実すればその旅行の満足度も格段に上がるわけで、今回のJLのような機内食のアップグレードは私のような食いしん坊には「刺さる」施策です。

 記事中では、著名シェフの落合務氏が「機内食が楽しみになる時代」について言及されていますが、是非ともそうなっていってほしいものです。従来は、例え上級クラスであっても「地上ならお金を払ってまでは食べない」というものが多く、どこかに「機内だから仕方ないのだ」という諦めが前提としてあったと思います。

 そもそも飛行機での移動というのは、様々な技術が発展している21世紀のこの時代においても、短時間のフライトを除けば、あるいは乗ることが好きという方を除けば、基本的には愉楽であるよりは苦痛であり、満喫するものであるよりは我慢するものでしょう。今後の技術革新がどのように進むのかわかりませんが、例えば機内食だけでも本当に「楽しみになる時代」となれば、大きな進歩となるはずです。

 また、もう一つRED U-35に関連して思うのは、旅行業界でこうした「スターシェフへの登竜門」のような仕組みができないか、という問いで、言い換えれば「この人の作る旅行に行ってみたい」と話題になるような人物が少ない業界であるということです。ぱっと思いつくのはカリスマ添乗員と評される日本旅行の平田進也氏くらいでしょうか。

 偶然にも今週4位には日本観光振興協会(日観振)、日本旅行業協会(JATA)、日本政府観光局(JNTO)による「ジャパン・ツーリズム・アワード」の選考結果がランクインしていますが、どうも「内輪受け」の感を否めず、しかもあまり個性に目が行く内容でもなく、せっかくの機会なのですからもう少し発表後の需要喚起を意識した展開をしても良いのではないでしょうか。

 日本添乗サービス協会(TCSA)がツアーコンダクター・オブ・ザ・イヤーを実施していて毎年注目されてはいるものの、当然対象は添乗員のみで、より幅広い個人に光を当てれば見えてくる変化もあるのではないかと感じています。(松本)

▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2017年08月25日0時~09月01日13時)
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第10位
HIS、3Qは増収増益、純利がプラスに-旅行事業は増収減益(17/08/27)

※除外した記事(本来は10位以内にランクイン)
人事、KNT-CT・KNT・クラツー部長級-9月1日付(17/08/30)