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【旅行×教育】「旅育」は親子で楽しみながら非認知能力を育てる教育

「旅育(たびいく)」という言葉をご存知でしょうか。旅育とは、文字通り「旅行」と「教育」を合わせた言葉です。子どもが小さいうちは、家族旅行に行く機会が多い家庭が多いことでしょう。家族の思い出作りとして出かける旅行も楽しいものですが、せっかく行くなら旅育を意識していくことをおすすめします。

今回は、旅育の効果やポイントについて詳しく解説します。家族旅行を楽しみながら、最近注目を集めている非認知能力を育てる効果も期待できる旅育について学び、子育てに取り入れてみましょう。

旅育とは?家族旅行との違いを解説

旅育とは、旅行中に体験するさまざまな事柄を通して、子どもの成長や学びを刺激したり興味や関心を広げたりする教育です大人も普段と違う土地を旅する中で、異文化や非日常を体験したり、新たな出会いを体験したりして大きな刺激を受けます。子どもにとっても、旅行で得る体験は貴重なものとなるでしょう。

旅育では、親が子どもの成長や学びを意識して旅行の中に教育的な効果を取り入れ、工夫や配慮をすることでより一層子どもの育ちにプラスとなることが期待できます学校で行われる修学旅行や研修旅行などには教育的な効果やねらいが含まれていますが、家族旅行でも同じように教育的効果を取り入れることが旅育の第一歩です。

旅育で育める非認知能力

非認知能力は社会情緒的スキルとも呼ばれ、学校の成績のように数値化できる認知能力とは異なり、数値化しにくい能力です。非認知能力には集中力やコミュニケーション能力、自制心、自己肯定感など内面的な能力が多くあります。教育現場でも非認知能力が重視されていますが、学校の授業では学びにくい実際の体験を通して、非認知能力を養えることが旅育のメリットです。

ここでは、旅育で育める非認知能力を10種類、紹介します。

1.意欲

旅行は、普段の生活の中では体験できないことを体験したり初めてのものを目にしたりする良い機会です。子どもが初めて体験することや目にすることは、興味や関心が広がるきっかけになります。興味や関心が広がると「もっと知りたい」「もっとやってみたい」などと、意欲が高まることでしょう。

2.計画性

子どもにも予定を伝えて移動することで、計画性が養われていきます。旅行は出発日や帰宅日、行き先などを決めてするものです。事前に公共交通機関の時刻や行き先までの所要時間、スポットのオープン時間などを調べ行動することで、計画性が身についていくことでしょう。

3.協調性

旅行は、協調性を育むにも適したアクティビティです。家族で一緒に旅行を楽しむには、自分勝手な振る舞いをしているとうまくいきません。行きたい場所ややりたいことの意見が合わないことや、思い通りにいかないこともあるでしょう。旅行中、自分のやりたいことを我慢したりほかの家族に譲ったりする経験をすることで、協調性が育ちます。

4.忍耐力

旅行中は待ち時間や移動時間が長かったり、混雑していて思うように動けなかったりすることもあるため忍耐力が育ちます。良い意味で「子どもファースト」をやめ子どもの成長を優先することで、より忍耐力を養えるでしょう。

5.自制心

普段とは違って思い通りにならないこともある旅行中は、自制心も育ちます。自制心とは、感情や欲望を抑えたりコントロールしたりする気持ちや精神力です。自制心は社会生活を営むうえで大切な力のため、楽しい旅行を通じて育んでいきましょう。

6.コミュニケーション能力

旅先ではホテルのスタッフなど、たくさんの人のお世話になる機会があります。移動中に一緒になった人と、会話する機会もあるかもしれません。初めて会う人や普段あまり接する機会がない人と挨拶をしたり会話をしたりする経験を通して、コミュニケーション能力の向上も期待できます。

7.創造性

旅行先で異文化に出会ったり、博物館や美術館などに出かけて歴史や芸術に触れたりする機会があれば、創造心が刺激されます。目にしたものについて親子で感想を話し合うことで、さらに創造性の向上に効果があるでしょう。

8.主体性

主体性とは、自分で考え判断し、責任感を持って行動する態度を表します。親目線ではなく子ども中心に旅行の計画を立てたり行き先を話し合ったりすることで、主体性が伸びるでしょう。

そして主体性を引き出すために有効なポイントは、興味を持ったことに思う存分チャレンジすることです。旅行を通じて子どもが興味を持ったことを旅行後も引き続き楽しむことで、さらに主体性が伸びていきます。

9.方向感覚

初めて訪れた土地で、マップを見ながら目的地を探したりさまざまな手段で移動したりする経験は、方向感覚を育てます。何度か旅行を経験することで、方向感覚や距離感はますます育まれていくでしょう。

10.感受性

旅行先で初めて目にするものや体験することを通して、感受性が豊かになります。海外はもちろん、日本国内でも普段住み慣れた土地と旅行先の景色を見て、町並みや雰囲気などの違いを感じられるはずです。住み慣れた土地と旅行先との違いを五感で感じ取ることで、感受性がより育ちます。

旅育で意識したいポイント5選

日常から離れて貴重な体験を積む機会となる家族旅行では、思い出とともに学びも残るもの。旅育を意識しながら旅することで、子どもの学びはさらに深くなります。ここでは、子どもの学びを深めるために旅育で意識したい、5つのポイントを解説します。

計画を立てる

旅育は、計画の段階から始まります。そのため、旅行を通して子どもに学んでほしいポイントや子どもの伸ばしたい力を考慮して、行き先や内容を決めましょう。

そして何よりも大切なことは、子どもと一緒に計画を立てることです子どもの意見を聞きながら計画を立てることで、子どもの主体性が伸びます。さらに、子どもは自分の意見を取り入れてもらうことで自信を持ち、自己肯定感や意欲が高まるでしょう。

子どもに希望を聞いても難しくて答えられないことや、予算や日数の関係で希望が叶えられないことももちろんあります。そのような場合は、親がいくつかのプランを用意し、子どもに選択してもらうのもひとつの方法です。

本物の体験をする

旅行先では、さまざまな体験をする機会があります。旅行先でしかできない本物の体験をする機会を取り入れることで、子どもは新たな発見や学びを得るでしょう。

全く知らなかった体験をするのも良いですが、学校で学んだ歴史的な場所や建物を訪れたり、本やテレビで見た体験をしたりすることで、より感動が深まります。

非日常を体験する

旅育では、非日常を体験できる要素を入れることが大切です。非日常を体験することは、感性が磨かれたり興味や関心の幅が広がったりと、新しい価値観に触れる貴重な機会となります。日常生活とは違う時間の流れの中で、普段は見られない景色を見たり親子で感想を話し合ったりすると、感性や価値観への影響がより大きくなることでしょう。

役割分担をする

旅行中はなんでも親がやってしまうのではなく、家族で役割分担を決めましょう。子どもは役割を与えられることを喜び、張り切ってやろうとするものです。そして、役割をしっかりとこなすことが自信や責任感につながります。たとえ上手くできないことがあっても、その失敗体験も学びになるはずです。

形に残るモノを作る

陶芸体験など旅先で形に残るモノを作る体験をすることも、旅育のおすすめポイントです。体験は貴重な機会になると同時に、作った作品が残るためより記憶に残りやすく、思い出にもなります。

また、旅先でモノ作りをするだけではなく、旅行から帰った後で写真をプリントアウトしてアルバムに収めたり、思い出を絵に描いたりするのもおすすめです。

移動時間を学びに!交通手段ごとの旅育を紹介

旅行に不可欠な乗り物で移動する時間も、旅育につながるものです。交通手段別に、移動時間を学びにつなげる方法を紹介します。

自家用車

自家用車で移動する際は、車内で家族の会話を楽しみましょう。何気ない会話を楽しむだけでも家族間のコミュニケーションにつながりますが、景色を見ながら感じたことを話し合うことで、見慣れた景色との違いが明確になります。また、目的地の情報を共有することもおすすめ。子どもは目的地が具体的にイメージでき、到着したときにより深く記憶や思い出に刻まれることでしょう。

電車・新幹線

電車や新幹線を使って移動する際は、発車時刻や乗り場、降りる駅などを子どもに調べさせたり、子どもと一緒に確認したりしましょう。方向感覚や時間を守る大切さ、地図の見方などを学ぶことができます。

また、駅には駅員やたくさんの乗客がいるため、駅員の仕事について理解したりいろいろな人を見たりする貴重な機会にもなります。

バス

バスツアーに参加すると、バスガイドから旅先の情報を紹介してもらえます。そのため、バスガイドの話にしっかりと耳を傾けさせ、旅行先についてよく理解してもらうようにしましょう。

また、高速バスで移動するときは、長時間じっと座っていることやおとなしくしていることが必要です。人に迷惑をかけてはいけないことを学んだり、忍耐力を身につけさせたりすることにもつながるでしょう。

飛行機

普段から利用する機会が多い自家用車や電車、バスに比べて、飛行機に乗る機会はとても貴重です。飛行機の窓から見える空の上の景色も、日常では決して見ることができません。そのため、飛行機で移動すること自体が非日常を体験する良い機会になります。

また、出発前に飛行機が飛ぶ仕組みや空港で働く人の役割・仕事内容、飛行機の航路を予習しておくこともおすすめです。さらに、飛行機で移動する際は時間に余裕を持って行動しなければならないため、早めに行動する意識も育ちます。

船も、日常生活では乗る機会が少ない乗り物のひとつ。海水浴などで海に行くのとは違い、海を渡るという貴重な体験ができます。晴れていれば、船のデッキに出て風を浴びたり直に景色を見たりできるのも、ほかの乗り物では味わえない経験です

また、ずっと座っていなければならないほかの乗り物と違い、船内を自由に動けるのも船の魅力。家族で船内を探検して船の中の様子や働く人を観察したり、船の仕組みを学んだりすると良いでしょう。

旅育におすすめの旅行プラン

ここでは、旅育におすすめの行き先やプランを選ぶ際のポイントを5つ紹介します。家族で各旅行会社のサイトやパンフレットを見ながら計画を立てる際に、ぜひ参考にしてください。

文化に触れる

その土地ならではの異文化に触れることができるのは、旅行の醍醐味です。独特な風習がある場所を選択し、事前にその土地について調べてから出かけることで、異文化に興味や関心を持つことができ理解が深まります。

手っ取り早く異文化に触れられるのは海外旅行ですが、日本国内でも充分に異文化を体験することは可能です。南に住んでいる人が北に出かけるなど、遠い土地や住んでいるエリアとは反対の方角に出かけるだけでも、文化や風習の違いが実感できるでしょう。

歴史に触れる

長い歴史を誇る歴史的建造物を訪れたり、有名な祭りに参加したりするなど、歴史に触れて学ぶこともおすすめの旅育です。旅を学びのきっかけにするのも良いですが、学校の授業で学んだ歴史上の出来事や場所を辿ることでも、学びがより深まります。

世界遺産に触れる

世界文化遺産に登録された名所を訪れるのも、有意義な学びの機会になります。数々の世界遺産の中から子どもが興味や関心を持ち、行きたいと思う場所に行くのが最も効果的です。そして訪れて終わりではなく、帰った後で旅を振り返り、写真や文章、絵などで記録を残しましょう。

モノ作りを体験する

旅先で陶芸やガラス工芸など、モノ作り体験をするのもおすすめのプランです。その土地ゆかりの作品を作る体験をすることで、文化や歴史の理解にもつながります。

モノ作りの良い点は、その土地を訪れて体験したことが形として残ることです。子どもが体験したいと思ったり興味や関心を持ったりした体験ができる行き先を選ぶと良いでしょう。

工場見学をする

その土地の名産品等を製造する工場を見学することも、貴重な体験と学びになります。子どもが好きなものや興味のあるものを作っている工場を見学することで、より意欲や感動が高まるでしょう。

旅育は家族の絆が深まり、学びと思い出が詰まった貴重な体験の機会

子どもが大きくなると、家族全員で旅行に出かける機会は少なくなりがちです。子どもが小さいうちに、たくさん家族旅行に出かけるとともに、ぜひ旅育を実践してください。

旅育は家族の絆がより深まるだけでなく、子どもが大きく成長する機会になります。非認知能力が育つよう親が適切にサポートをしながら、貴重な学びの機会となる旅育を楽しみましょう。

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ナイス

勤務経験30年以上の元男性保育士。現在は保育士や子育ての経験を活かし、Webライターとして子育てや保育記事を中心にさまざまなジャンルの記事を執筆しています。そのほか、音楽教育であるリトミック講師やフィットネスインストラクターなど、スキルや資格を活かしてフリーランスとして多方面で活動中。

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