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高知の魅力は「人」、魅力伝える独自コンテンツを造成-O-SHIKOKU代表の岡林雅士氏

人と食をかけ合わせた新コンテンツを造成
旅行会社は学び続ける努力を

-具体的な取り組みについて教えてください

「O-SHIKOKU」のウェブサイト(イメージ)岡林  高知県で宿泊業を展開するオリエントホテルグループとホテル発の観光商品を作っています。高知の魅力は「人」。グローカルの高知が人気の観光地と差別化して勝つには人しかないと考えています。私がコンサルティングしている旅は「人に会う旅」。高知の食材などをフックに、リアルな農家や漁師、森に暮らす人々と交流できる旅を造っています。

 地元の人達と協力して観光商品を作るには、エリア・アイデンティティの確立が必要です。お客様と地元の人の間に立ってコーディネートする人がいないと難しいですが、それを私が担えればと思っています。

 地域の人は、自分のしていることを観光商品化したい人ばかりではありません。「本業が忙しい時にはお客さんに来てほしくない」「儲けたいと思って仕事をしていない」という人もいるでしょう。そうした方々に協力してもらうために、高知を盛り上げよう、高知のファンを増やそうという観点でアプローチをしています。地域の人達をやる気にさせ、盛り上げ、ともに商品を造る気運を高めることに難しさを感じつつ取り組んでいるところです。

-将来的にはインバウンドもターゲットにするそうですが、いつ観光需要が戻るとお考えですか

岡林 1年、2年後には戻り始めると思います。とはいえ、階段式で動く層と最後まで動かない層があると見ています。コロナ前の水準には2024年、25年くらいには戻ると想定し、今後動いていきたいです。

 一方、日本人の国内旅行はもう戻り始めています。インバウンドのように階段式で徐々に戻ってきて、23年ころにはコロナ前と同水準に回復するのではと思っています。そのなかで、いかにグローカルである高知に来てもらうのかを考えなければいけませんね。

-インバウンド向けの新しい企画を検討されているそうですね

岡林 2つあり、両方とも観光業と相性の良い食関係です。1つは野外レストラン形式のコンテンツ。理事を務めるNPO法人の「高知県の食を考える会」のメンバーと一緒にコンテンツを作り始めているところです。 

 野外レストランはBtoBで展開し、予約が入ると開業する方式にします。小さな会社なのでBtoCだとお客様1人1人の予約やキャンセルに対応するのが大変ですし、協力していただく地域の人の負担にもなります。SNSや人との繋がりなどから入る団体から始め、将来的には旅行会社とも協業したいです。

観光コーディネート食堂「ひるまのゆめや」のロゴマーク(仮)  もう一つは地域と観光と密着した「観光コーディネート食堂」。地元の有名な居酒屋さんがお休みしている昼の時間に、居酒屋さんのメニューの1つである焼き鳥のテイクアウトを実施します。個性を出すために高知県産の柚子胡椒など自由にトッピングし、味を変えられる「追いスパイス」を用意する予定です。2022年1月にグランドオープンし、来年には四万十鶏や高知県産の生姜など素材にこだわったメニューを増やして販売していく計画です。

 さらに、観光コーディネート食堂を観光関係案内所と位置づけ、周辺観光地やレストランなどの案内もおこなうとともに、観光人材の集うネットワーキングの場としての役割を持たせられればと思っています。

 両事業ともターゲットはまず高知のお客様ですが、そこから国内、将来的にはインバウンドと広げていきたいと考えています。