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SDGs先進都市として都市間の連携を牽引、地域一体で観光客の誘致へ-宮城県東松島市長 渥美巖氏

アフターコロナはインバウンド強化、外国人観光客受け入れに向けた「おもてなし」研修も

 10年前の震災で甚大な被害を受けたことを窺わせない復興を遂げている宮城県東松島市。日本三景松島の東端に位置する江戸時代からの観光地であり、新たな自治体の形としてSDGsや環境問題にも積極的に取り組んでいる。アフターコロナに向けインバウンドの取り込みにも力を入れていくという市長の渥美巖氏に話を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

東松島市 市長の渥美巖氏
-はじめに東松島市並びにご自身のご紹介をお願いいたします。

渥美巖氏(以下敬称略) 東松島市は人口約4万人、仙台駅からは電車で40分で、東には宮城県で2番目に大きい石巻市、西には松島町があります。日本三景松島の東端に位置する奥松島を有しており、観光にも力を入れています。

 私は宮城県矢本町の役場職員を29年間務めた後、47歳で県議会議員に出馬して当選し、6期22年議員として職務を行いました。その後、2017年に故郷東松島市の市長に就任し、現在2期目を務めています。

-東松島市の観光資源について教えてください。

渥美 まずは日本三大渓の1つ嵯峨渓、宮戸島、野蒜海岸です。3年前にトレッキングコースである「宮城オルレ奥松島コース」ができました。奥松島・宮戸島を一巡りするもので、島1周10kmをおよそ4時間、ショートカットコースで2時間かけて歩きます。道中の大高森山には日本三景の松島を箱庭のように見渡せるスポットがあるほか、「新宮戸八景」と呼ばれる奥松島エリアの8つの景勝地の1つ、稲ヶ崎公園や新浜岬など風光明媚な名所も訪れることができます。

 また、ブルーインパルスの母基地である航空自衛隊松島基地があり、多くのファンが訪れています。東京2020オリンピックの聖火がギリシャから日本に到着した場所でもあります。

 震災の被害を受けた農地を観光果樹園として再生するプロジェクトも進めており、梅や桃などの果物の栽培を通して観光客や市民が憩うことはもちろん、販売による産業振興も計画しています。

-観光産業へのコロナの影響はいかがでしょうか。また、需要減に対応するために取り組まれている施策があればお聞かせください。

渥美 震災前は年間102万人いた観光客が昨年には60万人まで減っています。Go Toトラベルキャンペーンも大変有難い施策ですが、中断している状況ですので、やはり計画通りワクチン接種を進め、感染を収束させることが今一番の仕事だと思っています。医師会や看護師会の協力をいただきながら集団接種を推進し、64歳以下の方も10月中に接種を終了させたいと考えています。

 私はコロナを「災害」という位置づけで捉えています。震災から10年かけてハード面はここまで復興しましたが、同じくらい力を入れ、市の職員の総力を挙げてコロナ対策をしています。

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