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海外医療通信2021年2月号【東京医科大学病院 渡航者医療センター】

  • 2021年2月26日

※当コンテンツは、東京医科大学病院・渡航者医療センターが発行するメールマガジン「海外医療通信」を一部転載しているものです

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東京医科大学病院・渡航者医療センター

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海外医療通信 2021年2月号

海外感染症流行情報 2021年2月

(1)全世界:新型コロナウイルスの流行状況

新型コロナウイルスの累積感染者数は2月下旬までに約1億1100万人、死亡者数は約247万人にのぼっています(米国ジョンホプキンス大学 2021-2-24)。この1か月間で各地域の新規感染者数や死亡者数は大きく減少しました(WHO Corona virus disease 2021-2-23)。とくに北米やヨーロッパで感染者数の減少が顕著にみられます。一方、世界的に複数の変異ウイルスの流行が発生しており、英国型は101か国、南アフリカ型は51か国、ブラジル型は29か国に拡大しています((WHO Corona virus disease 2021-2-23)。いずれの変異ウイルスも感染力が強く、ヨーロッパでは英国型が流行の主流になっています。ワクチンに関しては、英国型には効果があるとされていますが、南アフリカ型には効果が減弱しているとの報告が多くみられます。日本では各変異ウイルスの感染者が空港検疫で確認されているとともに、英国型については国内感染も散発しています(国立感染症研究所 2021-2-12)。なお、日本政府は緊急事態宣言の発出とともに水際対策を強化しており、海外とのビジネス往来も制限されました。今後、緊急事態宣言の解除により水際対策の変更が予想されており、下記の厚生労働省のホームページなどを定期的にチェックするようにしてください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00209.html

(2)北半球:インフルエンザの流行

北米、ヨーロッパ、東アジアなど北半球では、2月もインフルエンザの流行が報告されていません(WHO Influenza 2021-2-15)。散発例としては、中国南部でB型、インドでA(H3N2)型とB型、UAEでA(H3N2)型が少数報告されています。

(3)アジア:シンガポールでのデング熱流行

シンガポールでは2020年に3万5000人のデング熱患者が発生しました(Outbreak News Today 2021-1-26)。これは過去10年で最も多い数です。同国で流行が拡大して原因としては、今まで稀な3型ウイルスが流行したことや、新型コロナ対策で蚊の駆除が停滞したためと考えられています。今年になってからは患者数も少なく、2月中旬の時点で約600人です(WHO西太平洋 2021-2-11)。

(4)ヨーロッパ:ロシアでトリインフルエンザH5N8型の患者発生

ロシア南部で2月にトリインフルエンザH5N8型の患者が7人発生しました(Outbreak News Today 2021-2-20)。同地域では昨年12月から家禽類の間でH5N8型が流行しており、いずれの患者もこうした家禽農場で働いていました。患者の病状は軽症とのことです。H5N8型のウイルスがヒトに感染したのは今回が初めてですが、ヒトからヒトへの感染は起こしにくいと考えられています。なお、中国ではH5N6型の患者が2014年から29人確認されており、死亡したケースもみられます。こちらも家禽との接触で感染しますが、ヒトからヒトへの感染は発生していません。

(5)アフリカ:コンゴとギニアでエボラ出血熱が再燃

コンゴ民主共和国の東部にある北キブ州で、1月下旬からエボラ出血熱の患者が6人発生(2人死亡)しました(WHO outbreak news 2021-2-10, 英国NaTHNac 2021-2-22)。同地域では2018年から流行が発生し、2020年6月に流行終息が宣言されたばかりです。また、西アフリカのギニアでも1月中旬からエボラ出血熱の患者が7人発生(5人死亡)しました(WHO outbreak news 2021-2-17)。同国でも2013年から2016年まで大流行が発生しており、その再燃とみられています。今回の流行地域はシェラレオネやリベリアとの国境付近にあり、隣国への波及も懸念されています。

日本国内での輸入感染症の発生状況(2021年1月11日~2021年2月7日)

最近1ヶ月間の輸入感染症の発生状況について、国立感染症研究所の感染症発生動向調査を参考に作成しました。
出典 https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr-dl/2021.html
新型コロナウイルス感染症の輸入例については、厚労省発表の検疫実績(2021年2月17日)を参考にしています。
出典 https://www.mhlw.go.jp/content/000743443.pdf

(1)経口感染症:輸入例としてはE型肝炎が1人で、フィリピンでの感染でした。
(2)昆虫が媒介する感染症:マラリアが3人で、感染国はナイジェリア、チャド、パキスタンでした。デング熱の症例はこの期間に報告されませんでした。
(3)新型コロナウイルス感染症:2021年1月10日~2月6日までに152人が輸入例として報告されており、前月(341人)より半減しています。このうち日本国籍者は46人でした。滞在国で多かったのは米国41人、フィリピン14人、ナイジェリア11人、パキスタン10人、ベトナム7人でした。

今月の海外医療トピックス

海外赴任者の新型コロナワクチン接種

最近、海外赴任前や赴任中の方から、新型コロナワクチンを日本人も現地で接種できるのか?一時帰国中の日本人は日本で接種できるのか?といったお問合わせを多数頂いています。日本政府は現在、ワクチン接種対象者を「原則居住地において接種を受けられることとし、接種日に、住民基本台帳に記録されている者」としています。通常、海外赴任者は出国前に役所へ転出届を提出し、住民基本台帳の記録を抜くのが一般的なので、この規定に従うと海外赴任者は国内で接種を受けられないことになります。多くの赴任者がワクチン接種の目処が立たず、不安を抱えているこの現状について、2月17日の衆議院予算委員会で議題に挙がりました。これに対し菅総理は、「海外在留邦人の安全確保は政府の重要な責務であり、コロナ拡大の中、重要性が高まっている。各国のワクチン接種状況や個別の状況を踏まえて適切に対応したい」と前向きな回答をしました。わが国の経済を支えている多くの海外赴任者が、早急にこの不安から解消されることを期待しています。(臨床助教 栗田直)
 【参考】・厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き(2.0版) https://www.mhlw.go.jp/content/000740417.pdf

渡航者医療センターからのお知らせ

(1) オンラインによるワクチン相談の開始
渡航者医療センターではオンラインによるワクチン相談サービスを提供しています(有料)。オンライン診療で、渡航地域に応じたワクチン接種プランの提示や、留学に必要な書類の作成アドバイスを行います。詳細は下記をご覧ください。https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/news/shinryo/20200729_2.html

(2)海外在留邦人向け新型コロナウイルス感染症よろず相談窓口のお知らせ
渡航者医療センターでは海外在留邦人向けに「新型コロナウイルス感染症よろず相談窓口」を開設しています。海外在留邦人の方ならどなたでも、電子メールによる相談が受けられます(無料)。詳細は下記をご覧ください。
https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/news/shinryo/20200421.html